シリーズ 「EVO・トップコンテンダーズ」は、Evo 2019で競い合うトップ選手たちを紹介する企画であり、これまでの歩みから、彼らの強みや弱み、そして最大の格闘ゲームトーナメントたるEvoで、果たして勝ち残れるかを見ていくものだ。

“ボンちゃん”は過去7年間、ストリートファイターのプロの中でトップの選手である。『ストリートファイターIV』での圧倒的なキャラの習熟から「キング・オブ・サガットプレイヤー」として知られるようになった。

 ボンちゃんが最大の成果を上げた年は2014年だ。Topanga World Leagueで3位となり、Evo 2014のグランドファイナルにて“Luffy”ことオリバー・ヘイに接戦の末に敗退し、準優勝した。

 『ストリートファイターV』がリリースされた当時、サガットは使用できなかったため、ボンちゃんはまずリュウを使っていた。キャラクター研究に苦闘した末に、最終的にナッシュに切り替えたことで、ランキングのトップに返り咲く。 Saigon Cup 2017Battle Arena Melbourne 9そしてThe Colosseum 2017にて優勝を果たした。

 ボンちゃんの2018年は粗いCPTシーズンだった。ナッシュは弱体化し、CPTイベントで勝てなかった。結局のところ、ナッシュを外し、かりんを使うことに変える。そんな状況だったが、シーズン3でサガットが使用キャラに戻ってきたことで、ボンちゃんは「ムエタイの皇帝」を演じ始めるのである。


今年の評価

 ボンちゃんは今年ゆっくりとしたスタートになったものの、CPTシーズンの途中から大きく前進する。現在 “ときど”に続き、2070ポイントでグローバルリーダーボードの3位にランクされている。


Versus Master(CPTランキングイベント)

 ボンちゃんはシンガポールで開催されたVersus Masterの大会にて今年最初の優勝を果たし、地元のヒーローたる “Xian”ホ・クンシャンを3-2で撃破する。最終セットにてボンちゃんはXianに対し、優れたディフェンスパフォーマンスを見せつける。

クレジット:SFV RBK

CEO(CPTプレミアイベント)

 ボンちゃんはCommunity Effort Orlando(以下、CEO)の緊張感に満ちたグランドファイナルにて、 “藤村”を破り、シーズン最大の勝利を手にする。

 藤村との最初のセットは3-2のスコアで落としたものの、ボンちゃんは立て直し、説得力ある3-1のスコアで最終セットを取った。

 ボンちゃんは日本のトップ選手だ。ひとたび勢いを持てば止められない。

VS Fighting (CPTランキングイベント)

 ボンちゃんが最後に優勝した大会が、イギリスのバーミンガムで開催されたVS Fightingの大会だ。厳しいグランドファイナルにて、No.1にランクされる選手 “Punk”ことビクター・ウッドリーを撃破した。

 ボンちゃんは3-1のスコアで確信的にルーザーズをリセットでき、Punkがやり返すあいだも最終セットを支配し続け、面白い試合を生み出す。ボンちゃんは大会最後のラウンドまで手綱を握りしめた。

 このときPunkは世界最高のかりん使いだと思われていた。試合が進むにつれ、ボンちゃんはより優れた判断を重ね、やがて大きなアドバンテージを見せた。

 ボンちゃんのプレイスタイルは、派手じゃないし特別エキサイティングじゃない。『ストリートファイターIV』でのサガットのプレイ同様、彼は大事に体力のリードを作る。これで相手はよりアグレッシブに動き、そこで重大なミスを犯す。

 ボンちゃんはボクシングのカウンターパンチャーと同じだ。試合での相手のミスを利用し、勝利に向かってそれを続けるのだ。


Evoでボンちゃんどうなる

 ボンちゃんは2013年からトップ選手の対戦相手だったが、いまだにEvoのタイトルを獲得していない。もっともタイトルに近づいたのは2014年で、準優勝にとどまった。

 ボンちゃんは他のすべてのトップ選手たちとよく当たる。藤村、Punk、ときどに勝利しているが、今年は “Problem X”ことベンジャミン・サイモンとは対戦していない。彼とはウィナーズの準々決勝で当たる可能性がある。

 試合で観たいのは、ボンちゃんで過小評価されがちなサガットだ。というのも、彼が最高レベルでプレイできる数少ない選手なのだから。

 ボンちゃんは強く、一貫したパフォーマーであり、Evoで上手く闘うべきで、少なくともトップ4に入賞すると見ている。

 机上ならばボンちゃんのEvoトーナメントはとても簡単だ。彼のプールではイギリスのプロ、ライアン・ハートや香港の選手“HotDog29” ホ・イェ・マンのように熟練の選手と一緒になるが、大会最終日にたどり着けば真に試されるのだ。

 ウィナーズ準々決勝でProblem Xを撃破できれば、準決勝でPunkと闘うことになるだろう。

続いて「EVO・トップコンテンダーズ」~藤村・マシーンが如く「EVO・トップコンテンダーズ」~日本の闘神・ときどもチェックだ!