シリーズ 「EVO・トップコンテンダーズ」は、Evo 2019で競い合うトップ選手たちを紹介する企画であり、これまでの歩みから、彼らの強みや弱み、そして最大の格闘ゲームトーナメントたるEvoで、果たして勝ち残れるかを見ていくものだ。

 イギリスのプロ選手である “Problem X”ことベンジャミン・サイモンのキャリアは、2011年の『ストリートファイターlV』から始まった。キャリアの始めのほうでは主にDream Hackに参戦していたところ、2016年にHypespotting Vの決勝にて、2014年のEvoチャンピオンである “Luffy”オリバー・ヘイを打ち負かし、初めてのタイトルを獲得してから、よりプロ選手として真剣に活動してゆく。

 Problem Xは2017年のカプコンプロツアー(以下、CPT)2017開催時にMousesportsと契約し、プロ選手らしくなっていく。この年ではSonic Boom IVCeltic ThrowdownStreet Grand BattleEGX, そしてthe EU Regional Finals in Milanで優勝を飾る。

 2018年は、Problem Xにとってさらに飛躍した年となった。22の大会に参戦し、ほとんどの大会で好成績を収めている。それだけではなく、Northwest Majors XHeadstomperCeltic Throwdownで優勝している。

 そしてもちろんEvo 2018の優勝もある。彼は最終セットで、日本の闘神のひとりである “ときど”に3-0で勝利しているのだ

 Problem Xはバーディー、アビゲイル、それからアレックス、ガイルなど、幅広いキャラクターをハイレベルで使いこなせる多彩な選手だ。そこで彼が使う最強のキャラクターはベガであり、世界最高の、独裁的な選手なのである。


今年の評価

 Problem Xは2018年は相当に良かったが、今年は昨年と同じような成績を収めてはいない。彼は1360ポイント、5位の成績で今年のEvoに参戦する。


April Annihilation (CPTランキング大会)

 Problem Xが今年、最初に優勝した大会はApril Annihilationだ。グランドファイナルで “Terrence”テレンス・ミケルを3-1で撃破する。April Annihilationのトップ8におけるベストマッチは、Problem Xがルーザーズで当たったPunkとの試合だ。

 Problem Xは最初の2セットではPunkのコーリンを倒せたものの、Punkは使用キャラをかりんに切り替えることで流れを取り戻す。Problem Xは試合を終わらせるのに苦労したが、最終的にはPunkを3-2のスコアで追い詰める。


Reflect (CPTランキング大会)

 その後、Problem Xははヨーロッパの選手で“Phenom” アーマン・ハンジャニを3-0で圧倒。Reflectを優勝する。


Combo Breaker (CPTプレミア大会)

 今回のCombo Breaker2019では、Problem Xはグランドファイナルで再びPunkと向かい合うことになる。

 ウィナーズ決勝でPunkの使うかりんに負けたあと、Problem Xはベガからアビゲイルへキャラを切り替える。Problem Xがグランドファイナルの最初のセットで3-0の圧倒的なスコアで勝利できたことで、この判断は正しかったように思えた。ところがPunkは最終セットですぐに3-0でやり返し、大会を優勝してしまう。


Sonic Boom VI (CPTランキングイベント)

 最後に、Problem X直近のCPT大会での優勝は、Sonic Boom VIにてイギリスのプロ選手 “Infexious ”DC・コールマンを撃破した優勝だ。Problem Xは自らが世界最高のベガ使いであることを、あらためて示すことができたのだ。


Problem X、Evoでの “問題”は

 Problem Xのプレイスタイルはボクシングにおける強打者に似ている。彼はよく相手と打撃戦をやり合う。完璧なベガによって、豪鬼やいぶきのように打たれ弱いとされるキャラよりも体力を持ち、ブロックされたコンボの削りダメージを含む、驚くべきダメージを与えることができる。

 Problem Xはキャラの深い理解に加え、相手を驚かせるトリッキーな動きと仕掛けを数多く知っている。

 今シーズンでは、他のトップ選手に対し上手く行っておらず、Evoをもう一度優勝したいならば、別の優れたパフォーマンスを見せなければならない。そのうえ、Problem Xにはグランドファイナルへの非常に険しい道がある。準々決勝では “ボンちゃん”と当たる可能性があるし、その前にも “マゴ”や “Menard”サウル・セグンド、 “MOV”や “ももち”が控えている。

 今年のProblem Xのパフォーマンスを見る限り、彼がチャンピオンにもう一度なるかは難しい。トップ8で終われるだろうと思うが、Evoのトーナメントがどのようになるかで、早期に敗退したとしても驚かないだろう。

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