2020年のDotaプロサーキット初戦となる『WePlay! ブコバル・マイナー』のグループステージ2日目の試合が行われ、白熱した熱戦が続いたことにより、試合は予定時間を大幅に過ぎて終了。しかしファンたちはその模様を大いに楽しんだようだ。

 2日目はグループAの敗退チーム決定戦で始まり、チーム・スピリットがニンジャズ・イン・パジャマズ(NiP)を2-0で下して敗退へと追いやった。さらにロイヤル・ネバー・ギブアップ(RNG)がギーク・ファムを2-0で圧倒し、大会の優勝候補へと躍り出た。

 ギーク・ファムをすぐさま調子を取り戻し、グループAの順位決定戦でチーム・スピリットを2-0で下した。そのあと、グループBではギャンビット・Eスポーツがファイティング・パンダスを2-1で下し、アッパーブラケット進出を果たした。

 この日最後の試合では、ニグマ・Eスポーツが2-1で勝利し、ファイティング・パンダスを敗退へと追いやった。

 試合の詳細は以下の通り。


チーム・スピリットがNiPを2-0で下す (グループA 敗退チーム決定戦)

ゲーム1

 NiPはミッドレーンのコナー・“TANNER”・ウィードンがティマーソー、ポジション5のピーター・“ppd”・ダガーがヴァイパーを選択。サポートのニコ・“Gunnar”・ロペスはフェイスレス・ヴォイドを選んだ。

 一方、チーム・スピリットは中盤~終盤戦をにらんでイゴール・“iLTW”・フィラトフがスラークを、オフレーンのアレクセイ・“nongrata”・ヴァシリーエフがネクロフォスを選択した。

 レーニングフェイズではNiPがスピリットをマップ全域で圧倒した。NiPはラディアント・タワーを陥落させ、様々な角度からの攻撃が可能になった。

 しかしスピリットはiLTWとnongrataがファームに成功し、試合の流れを引き戻すことに成功する。NiPの終盤戦の試合運びは壊滅的といってよく、ヒーローたちはスピリットによって狙い撃ちにされてしまった。

 NiPはGunnarが試合の流れを逆転させるクロノスフィアを狙うが、ミハイル・“Misha”・アガトフがレロケイトのアルティメット・アビリティを完璧なタイミングで繰り出し、iLTWを救ってみせる。NiPは魔法もバイバックも尽きた結果、降参するしか選択肢は残されていなかった。

ゲーム2

 続く試合で、NiPはサヒール・“UNIVERSE”・オーロラのサンドキングを、ディスラプターとリッチがサポートする布陣を敷いた。

 一方のスピリットは再びネクロフォスを選択し、iLTWはスペクターを選んだ。

 ゲーム1と同じように、スピリットはレーニングフェイズでつまづいた。NiPのKunkkaはクリープのキル数でチャートのトップに立ち、チームにペースを引き寄せた。

 それでもスピリットは23分にアレクサンダー・ “Immersion”・フメレフスコイがNiPのヒーロー 4人 に対してエコー・スラムを浴びせ、チームファイトを勝利に導いて一気に流れを逆転する。

 NiPのヒーローが次々と倒れていくなか、スピリットは一気にラディアント・ベースに攻め込み、NiPをマイナー敗退へと追いやった。


RNGがギーク・ファムを2-0で圧倒 (グループA ウィナーズマッチ)

ゲーム1

 RNGはドラフトでのオールラウンドな選択が功を奏し、ギーク・ファムを圧倒した。試合はRNGの一方的な展開で終わった。キルの数こそ少なかったものの、中国の雄はマップ全域を支配し、ダイア・ベースにプレッシャーをかけ続けた。

 RNGは基本に忠実な試合運びをみせ、決してミスを犯さなかった。ギーク・ファムは攻撃の糸口を見いだせないまま、試合時間だけが過ぎていった。ギーク・ファムはRNGが望む通りに動かされ、最後はRNGがダイアベースを制圧し、ゲーム1をものにした。

ゲーム2

 RNGは次の試合でもギーク・ファムを圧倒した。中国の雄は穴のないラインアップを選択し、ギーク・ファムにつけ入る隙を与えなかった。

 ギーク・ファムは キーアイテムを手にできなかった ため、ひたすらRNGとの正面衝突を避け続けた。ガオ・“Setsu”・ツェンションのパックは撤退するギーク・ファムのヒーローたちをやすやすとキルしていった。

 RNGのドゥ・“Monet”・ペンはハスカーを使ってギーク・ファムのヒーローを次々とキルし、最後はランペイジを繰り出してゲームを締めくくった。


ギーク・ファムが2-0でスピリット下す (グループA 順位決定戦)

ゲーム1

 ドラフトフェイズでは、両チームとも持久力に優れるヒーローを選択した。スピリットはモーフィリング、オムニナイト、ウィンター・ワイバーンを選択。一方のギーク・ファムは相手の呪文を封じるため、アバドンとルービックを選択した。

 序盤は互角だったが、22分にロシャン・ピット内でギーク・ファムがスピリットをとらえる。東南アジアの雄はiLTWのモーフィリングを秒殺し、さらにケニー・“Xepher”・デオがnongrataのオムニナイトが呪文を唱えるのを阻んでみせた。

 ギークファムはこのあと、Xepherがnongrataのアルティメット「ガーディアン・エンジェル」をスティールし、カール・“Karl”・ハイメの「リバース・ポラリティ」をお膳立てした。

 ギーク・ファムはリードを2万7000ゴールドに広げ、36分までに勝利を手にした。

ゲーム2

 ギーク・ファムは序盤にキルを積み上げ、ゲーム2でも先行する。Karlのマグナムが凄まじいインパクトを残した。レーンで圧倒し、ネットワースのチャートでもトップに立った。

 対するスピリットはキルを狙ってヒーローたちをマップのダイア・サイドへと振り向け、潜伏攻撃が成功し、ギーク・ファムのヒーローを3人キルしてみせる。

 スピリットは自軍のティア2タワーまで攻めてきたマグナスを仕留めようとしたが、これがチームの敗北を招くことに。ギークファムはチームファイトをしかけ、マルコ・ポーロ・“Raven”・ファウストのブラッド・シーカーがスピリットのヒーローたちを圧倒し、それによってスピリットは散開せざるを得なかった。

 2つのチームファイトを制したギーク・ファムは、ミドルレーンを攻めあがって、エンチャント・ベースを陥落させた。



ギャンビットが2-1でファイティング・パンダスを下す (グループB ウィナーズマッチ)

ゲーム1

 ギャンビットはパックやブラッド・シーカーといった機動力のあるヒーローを選ぶとともに、アースシェイカーやクリスタル・メイデン、ナガ・セイレーンといった攻撃力の高いヒーローを選択した。一方のファイティング・パンダスはジャッキー・“EternalEnvy”・マオのアルケミストに勝負をかける。

 序盤は両者とも決定打に欠けたが、しかしギャンビットがファイティング・パンダスをトップレーンで孤立させ、チームファイトで一掃してみせた。

 劣勢に立たされたファイティング・パンダスはイージス・オブ・ザ・イモータルを狙うが、ギャンビットのアースシェイカーがロシャン・ピットに飛び込んで、イージスを掠め取った。しかしギャンビットこのあと攻め急いでしまい、そこをファイティング・パンダスに狙い撃ちにされて、マップの支配を明け渡してしまう。

 ファイティング・パンダスはチームファイトに向けて着実にアイテムを獲得していたため、それがここに来て効果を現しはじめる。一方、ギャンビットが獲得したアイテムは試合時間の経過とともに効力を失っていった。ファイティング・パンダスは2万2000ゴールドにリードを広げ、ゲーム1をものにした。

ゲーム2

 続くゲーム2、ファイティング・パンダスは序盤で差をつけることを狙ってブラッド・シーカーとクリンクスを選択。一方、ギャンビットはブリュウマスターやリナといったカウンター重視の選択を行った。

 ファイティング・パンダスはジョナサン・“Bryle” ・デギアがトップレーンで苦戦し、レーニングフェイズは劣勢となった。 挽回したいファイティング・パンダスは、カーティス・“Aui_2000” ・リンを犠牲にしながらも、代わりにdreamのモーフィリングをキルしてみせる。しかしギャンビットの残りのヒーローたちは、ガーディアン・エンジェルを手にしたことにより、チームファイトをものにした。

 ギャンビットはこの後もリードを広げ続け、ファイティング・パンダスを降参へと追い込み、シリーズの行方は最終戦に委ねられることになった。

ゲーム3

 両チームとも序盤は互角だったが、ファイティング・パンダスが最初のチームファイトで勝利すべく積極的な攻撃を展開する。しかしギャンビットはこれをエリア効果の呪文で迎え撃ち、ファイティング・パンダスのヒーローをまとめてキルしてみせる。

 ファイティング・パンダスはスモーク・ギャンクを使って対戦相手を無防備な状態にさらそうとするが、ギャンビットのコアヒーローに十分なダメージを与えることができない。

 北アメリカの雄が辛抱強く試合を運んだ結果、次第に状況は好転していき、ギャンビットのヒーローを2体撃破。ダイア・ベースにプレッシャーをかけることに成功する。ファイティング・パンダスはバラックを狙う代わりにティア4タワーを狙うが、これが悪手となってしまい、ギャンビットにヒーロー3人をキルされてしまう。

 ギャンビットはミドルレーンのリバーに迫ると、ラディアント・ベースに一気に攻め込み、相手にバイバックを強いることに成功。そのバイバックしたヒーローもすぐさまキルして、勝利を手にした。

 この勝利によって、ギャンビットはアッパーブラケットへと進出し、ギーク・ファムと対戦することになった。


ニグマがファイティング・パンダスに2-1で競り勝つ (グループB 順位決定戦)

ゲーム1

 ニグマはギャンビットと死闘を演じたばかりのファイティング・パンダスを相手に、序盤でリードを奪った。

 マロウン・“GH” ・メルヘジのエルダー・タイタンと、クロ・“KuroKy”・タクハソミのリッチが、アース・スプリッターからチェイン・フロストへとつなげ、ファイティング・パンダスを蹂躙してみせた。

 ニグマはアリウィ・“w33”・オマルのウィンド・レンジャーとアメル・“Miracle-”・アルバルカウィのアンティ・メイジが、撤退する相手のヒーローをキルしてみせる。さらにジョナサン・“Bryle” ・デギアを、イージスが切れるタイミングで狙い撃ちにしてみせた。

 相手のスモーク・ギャンクをかわしたニグマは、そのままミドルレーンを攻めあがって、ゲーム1をものにした。

ゲーム2

 続く試合で、ニグマはファイティング・パンダスの力を侮り、勝負を終盤にまで持ち込めば、アメル・“Miracle-”・アルバルカウィのテラー・ブレードがチームを勝利へ導いてくれると過信していたようだった。ファイティング・パンダスは、デイヴィッド・“MoonMeander” ・タンのトレアント・プロテクターのアルティメット「オーバー・グロウス」が、チームを大いに助けることになった。

 一方のニグマは、Miracle-のテラー・ブレードが、チームメイトが自分を守ってくれると踏んで、ブラック・キング・バーを放棄する。その代わりにダメージを増幅させるアイテムを手に入れ、ファイティング・パンダスのヒーローを蹂躙する。

 ニグマはリードを1万7000ゴールドに積み上げ、ラディアントのバラックに攻め込むが、ベース内でファイティング・パンダスの逆襲を受け、4人のヒーローがキルされてしまう。

 ファイティング・パンダスは素早くミドルレーンを攻めあがって、わずか2人しか守備者のいないダイア・ベースに攻撃をしかける。これによってファイティング・パンダスは勝利を手にし、シリーズの行方はゲーム3に委ねられることになった。

ゲーム3

 ニグマはw33がウィンド・レンジャー、Miracle-がエンバー・スピリットを選んでチームファイト重視の編成を行ったが、不思議なことに攻撃力の高いヒーローは選ばなかった。

 一方のファイティング・パンダスは、ストーム・スピリット、ドロー・レンジャー、トレアント・プロテクターを選び、セオリー通りの編成を行った。

 ニグマは強力なレーニング・ヒーローを活かして序盤から押し気味に進め、w33がミッドレーンを制圧した。MiracleとKurokyはボトムレーンを支配し、ジンギュン・“Sneyking”・ウーのレギオン・コマンダーと有利な形でキルを交換し合った。

 ファイティング・パンダスはスモークギャンクを使って相手に食い下がるのが精いっぱい。この日はこのスモーク・ギャンク以外で攻撃の糸口を見出すことはできなかった。

 北アメリカの雄は再びスモーク・ギャンクを試みるが、今回はマップのブラインド・スポットへと追い込まれ、これによってBryleとAui_2000が連携し損ね、Kurokyのアルティメット「チェイン・フロスト」を止めることができなかった。

 勢いに乗るニグマはマップを支配し、Bryleのストーム・スピリットを標的にして、ファイティング・パンダスにプレッシャーをかけ続ける。

 ニグマは相手をすべてのレーンで圧倒した上、GHのディスラプターはトラップをしかけて、2度にわたってストーム・スピリットをとらえてみせる。この結果、ゲームはニグマの勝利に終わり、ファイティング・パンダスを敗退へと追いやった。

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