2020年のDotaプロサーキット初戦となる『WePlay! ブコバル・マイナー』のグループステージが開幕し、グループAではギーク・ファムとロイヤル・ネバー・ギブアップ (RNG) がそれぞれニンジャズ・イン・パジャマズ (NiP) とチーム・スピリットに圧勝を収めた。一方のグループBではファイティング・パンダスが優勝候補ニグマ・Eスポーツを下す番狂わせを演じたほか、ギャンビット・EスポーツはFURIA・Eスポーツに圧勝した。

 このあとニグマはFURIAに大差で勝利したが、優勝候補の筆頭は、どうやら盤石とは言い難い状態のようだ。


ギーク・ファムがNiPに2-0で勝利(グループA マッチ1)

ゲーム1

 NiPはニコ・“Gunnar”・ロペスがスラークを、ジェイソン・“Tanner”・ウィードンがテンプラー・アサシンを選択。一方のギーク・ファムはカール・“Karl”・ハイメがハスカーを選択し、マルコ・ポーロ・“Raven”・ファウストがジャイロコプターを選んだ。

 レーニングフェイズでリードを握ったのはNiPで、16分までにキルの差で8-1と圧倒する。一方のギーク・ファムも、キルの数で劣勢だったにも関わらず、ファームをうまく進め、中盤戦以降の布石を打つ。

 ギーク・ファムはキルの数でビハインドを背負いながらも、着々と戦闘態勢を整えた結果、NiPのミスにつけこんで、ヒーロー5人を使って相手陣内に一気に攻め込んだ。NiPは相手が撤退する際にいくつかキルを達成するも、もはやエンチャントベースはがら空きだった。

 なんとか挽回したいNiPは、Tannerがロシャン・ピットを狙うギーク・ファムからイージスを掠め取ることに成功するが、この戦いでTannerは2度にわたってキルされてしまう。この結果、ギーク・ファムは40分までにゲーム1をものにした。

ゲーム2

 反撃を狙うNiPはGunnarがモーフィリング、Tannerがシャドウフィーンドを選択。一方のギーク・ファムはRavenがレイザー、Karlがアウトワールド・デヴォウアー、オフレイナーのカルロ・“kuku”・パラドがナイトストーカーを選択し、トライコアでシリーズを締めくくりにかかる。

 レーニングフェイズは互角の展開だったが、NiPがギーク・ファムのティア1タワーに無謀な突撃を行うと、これが大惨事を招くことになる。NiPは相手のオフレイナーkukuのキルに成功するが、テレポートしてきたKarlにトリプルキルを達成され、勢いは完全にギーク・ファムのものとなった。

 NiPは奮闘するも、5vs5のチームファイトでギーク・ファムに太刀打ちできなかった。このあと、NiPのGunnarがミッドレーンのバトルに参加している隙に、ギーク・ファムは相手陣内で攻撃の糸口をつかむことに成功する。

 RavenとKarlがそれぞれトリプルキルを達成した結果、ギーク・ファムはチームファイトで2連勝。35分までに勝利を収め、2-0でシリーズを締めくくった。


RNGがチーム・スピリットに2-0で圧勝 (グループA マッチ1)

ゲーム1

 RNGは開幕日の第2試合で、ドゥ・“Monet”・ペンがファントムランサー、ミッドレイナーのガオ・“Setsu”・ツェンションがパック、オフレイナーのス・‘Flyby”・レイがアバドンを選択し、強力なトライコアを形成。一方のスピリットは「4プロテクト1」の布陣を選択し、イゴール・“iLTW”・フィラトフがテラーブレード、エゴール・“Ergon”・コズロフがインヴォーカーを選択する。

 レーニングフェイズで大きなリードを奪ったのはRNGで、すべてのコアがそれぞれのレーンで活躍をみせた。一方のスピリットはiLTWの孤軍奮闘が目立つ展開となった。RNGはポジション4のシュウ・“September”・ズィチュアンが序盤戦でカギとなる活躍をみせ、完全にチームを勢い付けた。

 スピリットのゲームプランを狂わせたRNGは、最終的にSeptemberがKDA(キル-デス-アシスト)で10-2-13と大活躍をみせ、わずか23分でゲームをものにした。

ゲーム2

 スピリットはゲーム2に向けて再び「4プロテクト1」を選択し、今度はiLTWがアンティメイジ、Ergonがマグナスを選択。これに対してRNGはキャリーのMonetがタイニー、Setsuがアウトワールドデヴォウアーを選び、破壊力抜群のデュオを形成する。

 RNGは強力なレーニング・ヒーローのおかげで、序盤に大きなリードを積み上げた。これによって、12分までにスピリットのティア1タワーを陥落させると、15分までにはバラックを制してみせた。

 スピリットは何とか応戦しようとしたものの、RNGの前では完全に無力であり、わずか17分でゲームは決着した。



ファイティング・パンダスがニグマ・Eスポーツを破る番狂わせ! (グループB マッチ1)

ゲーム1

 FPは ジャッキー・“EternalEnvy”・マオがドロー・レンジャー、ジョナサン・“Bryle” ・デギアがシャドウ・フィーンドを選択し、強力なデュオを形成。一方のニグマはアメル・“Miracle-”・アルバルカウィがアーク・ワーデン、アリウィ・“w33”・オマルがリナを選択する。

 レーニングフェイズでリードを奪ったのはニグマで、w33がBryleをミッドレーンで破り、フリーになったMiracleが9分までにハンド・オブ・ミダスをファームする。

 Bryleはこのあと序盤の失敗を挽回し、ニグマがペースダウンするなか、チームにファームのリードをもたらす。おかげでFPは強力なラインアップを形成することが可能になり、チームファイトで優位に立った。

 ニグマはMiracleがネットワースのチャートでトップに立つが、5vs5の戦いではFPに敵わず、散開して戦うことを選んだ。しかしニグマは再三にわたってFPのヒーローにつかまり、ロープ際へと追い込まれる。

 FPがメガクリープを制するなか、ニグマはロシャン・ピットでFPに対抗し、なんとか流れを引き戻そうとする。これは壊滅的な結果を迎え、FPはスロースタートながらシリーズで先勝することに成功した。

ゲーム2

 反撃を狙うニグマはMiracleがエンバー・スピリット、w33がテンプラー・アサシンをコアデュオに選択する。一方のFPは再びEternalEnvyがドロー・レンジャー、Bryleがシャドウ・フィーンドを選択する。

 序盤、FPはゲーム1とは打って変わって素晴らしい立ち上がりをみせたが、一方のNigmaも譲らず、今回は序盤に手にしたリードを無駄にすることはなかった。中盤戦ではMiracleが次々とキルを達成し、大きくリードを広げてみせる。

 FPはミドルレーンでニグマを相手にスモーク・ギャンクを試みるが、これはかえってニグマに利することとなり、ゲームは23分でニグマの勝利に終わった。

ゲーム3

 シリーズの行方がかかるゲーム3で、FPはEternalEnvyがファントム・ランサー、Bryleがストーム・スピリット、オフレーンのジンギュン・“Sneyking”・ウーがアバドンを選択。一方、ニグマはキャリーのMiracleがクリンクス、w33がテンプラー・アサシン、イヴァン・“MinD_ControL”・イヴァノフがアンダーロードを選択するなど、セオリーにはない布陣を敷いた。

 レーニングフェイズは互角の展開に終わったが、中盤戦以降はBryleが手の付けられないプレーぶりをみせはじめたFPがリードを握る。

 ニグマのセオリーを無視したクリンクスの選択は機能したとは言い難く、チームファイトではまったくインパクトを残せなかった。ニグマはBryleの動きを止められず、両者の差は開く一方となった。

 ニグマは自陣に攻め込んでくるFPを相手に奮戦したが、結局34分にFPが勝利を手にし、優勝候補を下す番狂わせを演じた。


ギャンビット・EスポーツがFURIA・Eスポーツを相手に格の違いをみせつける (グループB マッチ2)

ゲーム1

 ギャンビットはキヤルベク・“dream`”・タイィロフがブラッド・シーカー、ダニル・“gpk”・スクーチンがマグナス、マキシム・“Shachlo”・アボラモヴスキフがダーク・シーアを選択。一方、FURIAは「4プロテクト1」のラインアップを選択し、レオナルド・“RdO”・フェルナンデスがテラー・ブレード、ヘンリー・“Murdoc”・フェリペがクンカを選択した。

 レーニングフェイズではわずかにFURIAがリードを握り、dreamのファームがもたついている隙に、RdOがファームに成功する。しかしギャンビットはgpkが活躍し、キルを積み上げて流れを引き寄せてみせる。

 FURIAはテラー・ブレードにファームさせるためにチームメイトたちが奮戦したが、それでもギャンビットの優位は揺るがなかった。テラー・ブレードが参戦してきた唯一のチームファイトでも相手を一掃し、31分で勝利を手にした。

ゲーム2

 FURIAは再びRdOのためにテラー・ブレードを選択したが、セカンドにはMurdocがエンバー・スピリットを選択した。一方のギャンビットはdreamがウルサ、gpkがテンプラー・アサシン、オフレーンのShachloがタイニーを選択する。

 ギャンビットはレーニングフェイズでリードを手にすると、その後は相手に影すら踏ませなかった。dreamがトップレーンを制すると、gpkはミッドレーンで悠々とファームに成功する。ギャンビットはマップ全域でFURIAを圧倒し、キルに次ぐキルを積み上げた。

 この試合でもチームメイトたちの犠牲のもとでRdOのテラー・ブレードがファームに成功するが、1人ではギャンビットに抵抗することはできず、ゲーム2はわずか24分で決着した。


ニグマがFURIAを敗退に追いやる (グループB 敗退チーム決定戦)

ゲーム1

 ニグマはこの日最後の試合で、Miracleがエンバー・スピリット、w33がテンプラー・アサシンを選択し、破壊力抜群のデュオを形成。一方のFURIAはRdOがマグナス、Murdocがヴァイパー、フェリペ・“NS-ART”・コスタがナイト・ストーカーを選択し、トライコアで対抗する。

 レーニングフェイズは互角の展開となるが、チームファイトではFURIAが若干優位に立った。しかしながら、ニグマはコアがファームに成功するとともに、マップ全域でキルを達成し、徐々にリードを広げていく。

 ニグマはMiracleのエンバー・スピリットの活躍によって完全にペースを握り、その突撃によってチームメイトはスペースを与えられ、チームファイトでFURIAを蹂躙する。

 FURIAは自陣を守るべく奮戦するが、猛威を振るうニグマを前に47分で陥落し、敗退チーム決定戦のゲーム1はニグマがものにする。

ゲーム2

 FURIAは終盤戦をにらんだドラフトを行い、RdOがモーフィリング、Murdocがマグナス、オフレイナーのNS-ARTがナイト・ストーカーを選択した。一方、ニグマは相手の弱点となる序盤戦に向けてw33がハスカーを選び、さらに終盤戦の保険のためにMiracleがスラークを選択した。

 ニグマのハスカー選択のサプライズは見事に功を奏し、w33が20分までにバラックを陥落させるのを、 FURIAはなす術もなく見守った。そのわずか数分後にFURIAはギブアップし、大会からの敗退が決定した。

 FURIAはブコバル・マイナーで最初の敗退チームとなり、獲得賞金は1万2000ドル、DPCポイントは40にとどまった。

 一方のニグマは大会への生き残りをかけ、グループBの順位決定戦で FPとギャンビットの勝者と対戦する。

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