今回は「 AoV・シンガポールチームの側面」のひとつ。シンガポールのSEA ゲームズ2019 『アリーナ・オブ・バロール(以下、AoV)』チームが国を代表し、金メダルを獲得しようとする舞台裏を紹介。

 私の名前はジャッキー・ング。SEAゲームズ2019に出場する、『AoV』のシンガポールチームのコーチをやっています。

シンガポールSEAゲームチーム。
Jacky Ng(右から3番目)は、『AoV』のコーチ。
クレジット:ジャッキー・ング

12月3日

 シンガポールのeスポーツチームは2度、予定を変更したあと、真夜中にマニラに到着しました。ついていないことに空港からホテルまでのバスは時間通りに到着せず、結局私たちは午前2時くらいにホテルへとたどり着きました。

 遅い時間にも関わらず、寝る前の午前4時までトレーニングすることにします。

 私は就寝前にチームとグループの状況を確認しました。私たちはマレーシア、ラオス、インドネシアのいるグループBにいます。選手たちはドローなのをチェックした後、やる気を出しました。最も強い2チームであるタイとベトナムとの対戦を避けられるからです。

 私たちはマレーシアを破り、2つめのシードポジションを取れると感じました。

クレジット:ジャッキー・ング

12月4日

 選手たちは朝食を摂るため、午前9時に起きます。驚いたことにpingはホテルのwi-fiを使ったほうが質がよく、練習はトレーニング会場ではなくホテルにすることにしました。

 最初の練習はフィリピンの代表であるリヤブ・エスポートへの対応です。最終的に5時間もトレーニングしました。しかしながら、うまくいきませんでした。まとまった戦略や構成を決められず、チーム内で意見の相違が起きてしまいます。

 午後8時、夕食に休憩することにします。食後、私たちのいちばん経験のある選手のビョルン“Zeys”オングはチームのローテーションや構成、そして取り組まなくてはならない、いくつかの基本的なプレイを通して、チームをまとめようとしました。

 ですがZeysの最善の努力にもかかわらず、この時チームの見込みは薄かったのです。

クレジット:ジャッキー・ング


12月5日

 今日はSEAゲームズの開会式です。『AoV』のトーナメントは7日まで始まらないのですが、開会式にはチーム全員がスタジアムにいなければなりません。

 開会式が終わると、スタジアムにはWi-Fiがないため、ほとんどのチームはホテルに戻ってトレーニングします。

 Zeysは、『AoV』チームの選手であるだけでなく、本日試合がある、シンガポールの『モバイル·レジェンド: Bang Bang』(以下、MLBB)チームのコーチでもあるので、スタジアムに残りました。

 そのせいもあってか、チームのモチベーションは史上最低になってしまいます。Zeysがいないために残りの選手たちがトレーニングできず、個人それぞれだけで練習したせいです。悪いことは続き、MLBBトーナメントが長引いてしまい、Zeysは午後9時過ぎにホテルに着いたため、チームとしてわずかな時間しかトレーニングできなかったのです。

クレジット: ジャッキー・ング

12月6日

 この日も試合はありませんが、チームは大会のサーバーアカウントを設定するため、スタジアムに向かわなければなりませんでした。

 ホテルに戻ったとき、すでに午後3時でした。打ち合わせでチーム全体をまとめます。まずは意見の違いは置いておくとして、問題を解決しようとすることにしました。私たちは全員、世界レベルで国を代表して闘える、唯一のチャンスかもしれないとわかっており、それを無駄にしたくなかったのです。

 午後の残りの時間は、さまざまな国に対応するためのトレーニングで過ごします。ありがたいことに、チームをまとめる打ち合わせの後、トレーニングの結果ははるかに良くなり、明日、迎え撃つ他のチームに応じるための、良いパフォーマンスをいくつか出せました。

 モチベーションとアグレッシブさは上がってきており、深夜までずっと練習を続けました。明日、最初の試合が始まります。

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