マーフィーの法則によれば「失敗する余地のあることは、必ず失敗する」そうだが、億単位でお金が動くEスポーツイベントでも、この法則が結構な確率で降りかかる。

 他の伝統的なスポーツ競技とは違って、Eスポーツの大会は技術的な面に負うところが大きい。インターネットの接続環境、ハードウェアの不調、停電、災害……これらのトラブルに見舞われると、それがそのまま壊滅的な打撃となって大会の成否に影響を及ぼす。過去には最高峰のステージが台無しになることが何度もあった。

 本日は予定通りに進まなかったEスポーツの大会5選をお届けする。


【LoL】リーグ・オブ・レジェンド世界選手権2012

 2012年10月8日、リーグ・オブ・レジェンド・シーズン2・世界選手権は準々決勝の試合が行われ、チーム・ワールド・エリートとカウンター・ロジック・ゲーミング・ヨーロッパ(CLG EU)が激闘を繰り広げていた。

 トラブルはまずゲーム2の途中に起きた。会場のステイプルズ・センターのインターネット接続がダウンしてしまい、試合は始めからやり直しとなった。ゲームをまったく同じ状況から再開することは不可能だからだ。

 CLG EUは再試合となったゲーム2を制してシリーズを1-1のイーブンに戻すことに成功すると、ゲーム3も優位に進め、勝利まであと一歩という状況に迫った。ところが59分、再び会場のインターネット接続がダウンし、再び試合はやり直しとなってしまう。

 ライアットゲームスはこのあと、同じヒーローで再試合を行うと決定した。ところが、この再試合も25分で再び中断へと追い込まれてしまう。今度はすべての選手の接続が切れてしまった。

 この結果、選手たちは同じ準々決勝の試合を8時間近くプレーするはめになってしまった。

 そして3度目の再試合が行われようとしていたところ、ミッチ・“Krepo”・フールスポエルスのPCがダウンしてしまい、またもゲーム再開は延期となってしまう。ここでライアットゲームスはその日のうちの競技再開を断念することを発表。再試合は後日開催されることになった。


【CS:GO】ESWC2015

 ESWC(エレクトロニック・スポーツ・ワールドカップ)2015は、同年7月10日に開催された『カウンターストライク:グローバル・オフェンシブ』の大会だ。世界中から最高峰のチームが集結したが、大会は度重なるコマーシャル・ブレークによって記憶されることになった。

 開催地のモントリオールが予想外の熱波に見舞われたことにより、サーバがオーバーヒートし、何度もインターネット接続が途切れたのだ。さらに2日目には分散型サービス妨害に遭い、大会は中断せざるを得なかった。


【ストIV】Evo 2015

 2015年7月19日、Evoの『ウルトラ・ストリートファイターIV』のグランドファイナルズが行われ、“ももち”とブルース・“Gamerbee”・ヒシャンが、ファイナルセットにまでもつれ込む激闘を展開していた。

 ももちがトーナメントポイントを握るなか、アーケード・スティックの接続が切れるというトラブルに見舞われてしまう。ももちは日本の友人“ときど”からスティックを借りることになったが、ももちにとってジョイスティックはどれでも同じだったようで、結局そのラウンドを制してEVO 2015の王者に輝いた。


【Dota2】上海メジャー

 2016年2月25日に開催された上海メジャーはエキサイティングなDota2のトーナメントになるはずだったが、反対に完全な悪夢となり果ててしまった。

 大会は開幕早々から技術トラブルに見舞われてイベントの進行が遅れ、それが大会全体のトーンを決定付けてしまった。特筆すべきは、大会の公式ストリーミングの中継で起きたトラブルだった。

 まずは1日目の終了後、メイン司会者を務めていたジェームズ・“2GD”・ハーディングが、不適切なコメントを繰り返したことで解任となってしまう。

 さらに制作会社のKeyTVも、度重なる問題の責任を取らされる形で、3日目の朝に解任された。

 結局大会に関わった人材の多くは、問題の対応に追われるだけとなってしまった。

 さらに選手の用具の一部を上海メジャーのスタッフが紛失してしまうというハプニングも起きてしまい、まさに踏んだり蹴ったりの大会となった。



【Dota2】ESL One ロサンゼルス・メジャー 東南アジア予選

 LAメジャーの東南アジア予選で、チーム・アドロイトはグループステージを勝ち抜いて、フナティックとの3試合制のプレーオフに臨んだ。勝った方のメジャー進出が決まる大事な一戦だった。

 ところが、チーム・アドロイトの合宿地でインターネット接続トラブルが起き、アドロイトはゲーム1の放棄を余儀なくされる。

 チームはこのあとインターネットカフェに駆け込んで試合を再開するが、今度はジュン・“Bok”・カネハラの接続が途切れてしまう。

 アドロイトはなんとか試合を続けようとするが、結局17分に降参へと追い込まれた。

Credit: Team Adroit

 さらにこの大会では、ロウキー・Eスポーツもインターネット接続の問題に見舞われてしまう。

 シグナル・ウルトラと対戦したタイブレイカーで、1万ゴールドリードという圧倒的有利な状況のなか、突然接続が途切れてしまったのだ。ロウキーの再接続が叶わなかったため、主催者側はシグナル・ウルトラに試合再開を促した。

 このあと、ロウキーは無抵抗となったダイアベースに攻め込まれ、そのまま敗退へと追いやられた。

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