Eスポーツは世界で最も急速に成長している産業の一つだ。

 2019年、Eスポーツの世界ではいくつか驚くような金字塔が打ち立てられた。アルスラン・“Arslan Ash”・シッディケはパキスタン人として史上初の『Evo』王者になっただけでなく、同一年に『Evo Japan』を制した史上初めての選手となった。しかもその両方をデビュー年にやってのけたのだ。さらにカイル・“Bugha”・ギエルスドルフが『フォートナイト・ワールドカップ』を制し、16歳にして億万長者になった。

 まだ驚き足りないって? それでは本日はあなたの常識を覆すEスポーツの豆知識を厳選してお届けしよう。

Credit: Valve

賞金総額史上最高の大会はDota2の『ザ・インターナショナル2019』

 年に一度のDota2の祭典である『ザ・インターナショナル』の2019年大会では、賞金総額が3430万ドルにのぼり、Eスポーツとしては史上最高の金額となった。賞金はゲームの伝統に則って、ファンや選手からのクラウドファンディングで集められた。

 王者に輝いたOGは優勝賞金1600万ドルを獲得し、チームのメンバー5人はそれぞれ310万ドルを手にした。ちなみに同年のテニスのウィンブルドン選手権を制したノヴァク・ジョコヴィッチが手にした優勝賞金は300万ドルだったため、Dota2の王者はこれを上回る金額を手にしたことになる。


Credit: Joi Ito

史上初のEスポーツの大会は1972年に開かれた

 議論の余地はあるかもしれないが、Eスポーツは1972年10月19日に誕生したといえるだろう。というのも、その日スタンフォード大学が『インターギャラクティック・スペースウォー・オリンピック』を開催したからだ。それはPDP-1コンピューターでプレーする、『スペースウォー』というゲームの大会だった。

 大会では三つの種目が行われた。バトルロイヤル、チーム戦、そして個人戦の三種目だ。

 スタンフォード大学の学生が見守るなか、ブルース・バウムガートという青年がバトルロイヤルの種目を制し、大会最高の賞金を手にするとともに、『ローリングストーン』誌の一年間の購読権を手にした。

Credit: Rolling Stone

Credit: Riot Games

2019年の『リーグ・オブ・レジェンド世界選手権』は“スーパーボウル”の視聴者数を上回った。

 2019年の『リーグ・オブ・レジェンド世界選手権』のグランドファイナルズではファンプラス・フェニックスがG2を破って初戴冠を果たした。番組の視聴者数は1億人に上った。

 一方、カンザスシティ・チーフスがサンフランシスコ・49ersを破ったアメリカンフットボールの祭典“スーパーボウル”の視聴者数は9880万人だった。つまりEスポーツの大会の視聴者数が、全米最大のスポーツイベントの視聴者数を上回ったことになる。



Credit: Daigo Umehara

梅原“The Beast”大吾は2つのギネス記録の保持者であり、5冊の本を出版し、自身をテーマにしたコミックの主人公である

 梅原大吾は多くのファンから格闘ゲーム史上最高の選手であるとみなされている。現役選手として25年のキャリアのなかで、梅原は6度のEvo王者に輝き、さらにギネスが公認する2つの世界記録の保持者でもある。その一つ目は「最も視聴された格闘ゲームの試合」の記録で、これは『Evo2004 a.k.a Evo Moment #37』の『ストリートファイターIII 3rd STRIKE -Fight for the Future-』の試合だった。また、前人未到の15大会連続優勝という世界記録も保持している。

 “The Beast”はまた、5冊の著書を出版しており、さらに自身のゲームセンターでの少年時代を描いたコミック『ウメハラ FIGHTING GAMERS!』の主人公でもある。


Credit: Lenovo

60歳以上のメンバーで構成された『カウンターストライク』のチームがある

 ゲーミングチーム“シルバー・スナイパーズ”は、ゲームに性別、人種、そして年齢の壁などないことを証明してみせた。

 この『カウンターストライク』のチームは、64歳から76歳のメンバーで構成されている。スウェーデン発祥の“シルバー・スナイパーズ”は、フィンランド、アメリカ、ドイツといった面々を下してシニア世代のワールドカップを制している。

 こちらがシルバー・スナイパーズのメンバーだ。

  • オリヴィンド・“Windy”・トヴァールッド(76歳)
  • アッベ・“BirDie”・ドラクボリ(76歳)
  • ワンジャ・“Knitting Knight”・ゴタンゲ(64歳)
  • バルタサル・“El Nino”・アギーレ(65歳)
  • インガー・”Trigger Finger”・グロッテブラド(67歳)

 BirDieはインタビューで「私たちの目標は、ゲームはみんなものだと証明することだ。私たちにできるなら、君にもできるはずだ!」と語っている。

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