『ファイナルファンタジーVII:リメイク』が遂に発売を迎えた。ゲームは旧作に新たな解釈を与えるものとなっており、オールドファンと新規ファンの両方を満足させる内容となっている。

 スクエアエニックスは元々のゲームを忠実にHDリマスターするだけという安直な選択には逃げずに、ゲーム全体を一から作り直すという勇気ある決断を下した。

 リメイク版はオリジナル版をきちんと踏襲しながら、個々のキャラクターの背景を深く掘り下げ、部分的なひねりを加え、豊富なCVを追加し、新たなバトル体験を約束するものとなっている。もしあたながJRPGが好きなら、『ファイナルファンタジーVII:リメイク』はいい意味でも悪い意味でも、その期待に応えてくれるはずだ。

 それでは第一弾のレポートをどうぞ(ネタバレは一切ないのでどうかご安心を)!


Credit: Square Enix

 このゲームはまず超美麗のグラフィックが目を惹き、鮮やかな表現でキャラクターの個性を引き立たせている。激しい戦闘のあとにはバレット・ウォレスがお馴染みの「FF勝利のテーマ」を鼻歌で歌ってくれるなど、日本人声優によるリッチなCVが吹き込まれており、地上数キロの高さに位置にする「魔晄ミッドガル」での冒険を、より臨場感のあるものへと高めてくれている。

 また、巨大な円形の鋼鉄プレートの上に作られた清潔で美しいメトロポリスから、荒廃したスラム街へ降りていくときのコントラストにも目を見張らされる。

 そこに見事なBGMが加わる。シリーズの“巨匠”植松伸夫氏作曲による壮大なメインテーマはフルオーケストラでバージョンアップされており、ノスタルジーを掻き立てる。サウンドトラックも必聴だ。

 今作ではグラフィックが大いに向上したことで、20年前にオリジナル版をプレーした時には注意を払うことのなかった様々なディテールに気づくことができた。また、解像度に制限のあるVGAのディスプレイではなく、4K HDRのディスプレイでゲームをプレーすることで、キャラクターの表情の細部の動きまで、生々しく感じ取ることができる。

Credit: Square Enix

 美麗のグラフィックは脇においても、このゲームは新しい戦闘システムだけでも十分に評価に値する。オールドファンは牧歌的なターン制のバトルを懐かしむかもしれないが、今作のリアルタイム・アクティブ・タイム・バトルはより展開がスピーディとなり、もはやアクションゲームに近いといっていい。ただし、相手を切り刻むことに没頭するわけにはいかず、常に残りのHPに気を配りながら、ATBのゲージが満タンになったときにどのアビリティを選択するかが、勝敗のカギを握ることになる。

 戦闘中は一瞬たりとも気を緩めることはできない。操作にはようやく慣れてきたところだが、油断をすれば予想もしなかったような敵のギミックによって味方パーティが全滅させられてしまうことも珍しくない。

 なお、スクエアエニックスは戦闘システムに「クラシックモード」というオプションを残しており、これはオリジナル版に近いターン制のバトルだ。この「クラシックモード」ではキャラクターが自動的に攻撃を行い、プレイヤーはATBゲージが溜ってから行動を選択するというものだ。しかしながら自動攻撃のAIはあまり賢いとはいえず、効果的な攻撃を繰り出すまでに時間を要する。もし最高のゲーム体験を楽しみたいのであれば、「クラシックモード」はお勧めしない。

Credit: Square Enix


 一方、現時点でこのゲームで気に入らないと思う点は、展開が一直線だということだ。

 すでに8章をプレーしているが、オープンワールドな展開はまだ見られない。マップのなかを一直線に走り抜けるような場面が延々と続いていく。

 ミニゲームをこなす章に入るとようやく行動の選択肢が増えるようになるが、なんだか馬鹿らしい気分になるようなものが多い。

Credit: Square Enix

 過去作でいえば『ファイナルファンタジーXV』が、終盤に入ると一気に自由度が上がったように、この新作でも章を進めるごとに一本道が解消されていく可能性は残されているが、オリジナル版でも自由度が上がったのはミッドガルを出てからだったことを考えると、ミッドガル脱出までを描くこのリメイク版第一弾ではそれにもあまり期待できないだろう。クリアしてからもう一度アップデート版のレポートをお届けするが、その時にこの新作が予想をいい意味で裏切ってくれるかどうか、期待しつつプレーを続けることにしよう。

 オリジナルの『ファイナルファンタジーVII』は、プレイヤーたちにもっと続きがみたい!と思わせたという意味で革命的なゲームで、実際に様々なスピンオフ作品が制作された(映画化までされたほど!)。

 この『ファイナルファンタジーVII:リメイク』はただのリメイクにとどまらず、オリジナル版を生き生きと色彩豊かに拡張させたもので、ゲームプレーも現代的なものにアジャストされている。そして一番の点は、まだ続きがあるということだ。この先の展開についても大いに期待できる。

 結論:このゲームは「買い」か? 文句を言わずに9000円払いましょう。

Text By Aloysius Low

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