僕は小さいころ、16ビット時代の深海系ゲームで悪夢の様な体験をしているので、カプコンの新作『SHINSEKAI Into the Depths』にここまで魅了されるとは思っていなかった。このレトロスタイルなゲームは、中毒性の高い探検、サバイバル、パズルの組み合わせによって、完全に僕を虜にしてしまった。

 あなたはこのゲームの大半を重いダイビングスーツを着用して過ごすことになる。大災害によって地表が居住不可能となった世界で、最後の生存者であるあなたは、アイテム、ギア、武器を求めて海中を探検し、それを手に入れることによって、さらに深い層へと潜っていくことが可能になる。

 最初は浅い場所を泳いでいるので、海は穏やかで明るいが、深く潜るにつれて、辺りはどんどん暗く、薄気味悪くなっていく。実際に深海で録音したというサウンドトラックによって、その体験はさらに増幅される。是非ともヘッドホンをつけてプレーして欲しい。

 SHINSEKAIは過去の深海探査ゲームとは違って、海のなかを泳ぐのは比較的容易で、コントローラーの反応もよく、許容範囲のレベルだ。貴重な酸素を使って泳ぎにブーストを加えることも可能で、さらに海中の壁面などを掴んで、上り下りすることもできる。

 また、深く潜っていくにつれて、ハープーン銃や採鉱用の工具などをみつけることができ、最終的には潜水艦を発見することで、これまで潜ることができなかった場所に潜れるようになる。

 さらにこのゲームでは、恐ろしい海の生物に遭遇することがある。水深の浅い場所に出てくるクラゲなどに驚かされることはないが、プレイヤーの体の3倍はありそうなハサミをもった、巨大な芋虫のようなクリーチャーに初めて遭遇したときは…正直に言うと、僕はおしっこをちびりそうになってしまった。

 なお、このゲームでは海の生物と戦う機会はそこまでなく、あくまでオマケといった程度だ。このゲームの醍醐味は、深海にある洞窟やトンネルの、巨大なネットワークを解き明かしていくことにある。一度探査した場所にあとから戻ってみると、さらなる発見があったりもする。また、頭を悩ませるパズルの数々も登場し、それらは既成概念にとらわれていると解けない代物だ。

 『SHINSEKAI Into the Depths』は海が苦手な人にはお勧めできないが、Apple Arcade用ゲームとしては間違いなく今年一押しの作品になるだろう。

Text by James Lu