過去1年間ほどの間にクラウドベースのゲームシステムが大きくシェアを伸ばし、グーグルやNVIDIA、マイクロソフトなどがこの新分野への参入を進めてきた。

 次なるビッグネームはAmazonとなりそうだ。「プロジェクト・テンポ」というコードネームで呼ばれるゲームストリーミングサービスが準備されており、ローンチに近づいている。

 このままプロジェクトが進められれば、年内のどこかのタイミングでプラットフォームが公開される見通しとなる。だがニューヨーク・タイムズの報道によれば、新型コロナウイルスの感染拡大による現在の社会的・経済的不安の影響により、リリースは2021年まで遅れることになるのではないかと産業界では予想されているという。

 それでも、公式アナウンスは今年中に行われる可能性があるかもしれない。

 「プロジェクト・テンポ」は、インターネット産業の巨大企業であるAmazonがゲーム業界において確かな存在感の確立を実現しようとする主要戦略のひとつに過ぎない。Amazonはすでにオリジナルゲームの開発にも乗り出している。

 今後数ヶ月中に2つのタイトルがリリースされる見通し。第1弾はSFテイストのサードパーソン・シューティング『Crucible』であり、5月のリリースが発表されている。

 『New World』という名のMMOも5月リリースが見込まれていたが、正式リリース日はすでに8月へと延期されている。これもコロナウイルスのロックダウンの影響によりリモートワークの調整が難しくなったことが原因だ。

 第3のプロジェクトもMMOスタイルのゲームであり、『ロード・オブ・ザ・リング』の物語をフィーチャリングしたものとのことだが、このゲームに関する情報はまだまだ限られている。

 最初の2タイトルでリアリティーのあるゲームグラフィックを実現し、大規模オンラインバトルの描画を可能とするため、Amazonはすでに「Lumberyad」というゲームエンジンの開発に投資を行っている。このプラットフォームと、Amazonの誇る大規模なクラウドサービスを活用することで、マルチプレイヤーゲームを提供していくという計画だ。

 Amazonはまた、Twitchの世界的なビデオゲームストリーミング視聴者層も取り込もうとしている。ストリームを単なるゲーム視聴のためのプラットフォームとするのではなく、ストリーマーと一緒にインタラクティブなゲームをプレーするツールに改革するという計画だ。

 「Twitchの同時性のあるインタラクティブ環境の中で、プレイヤー、ストリーマー、視聴者の全員が同じものをシェアするという考えは魅力的だ」とAmazonゲームサービス&スタジオのマイク・フラッツィーニ副社長は話している。

 Amazonのゲーム業界進出の第一歩が成功するかどうかは、最終的には製品とサービスのクオリティー次第ということになるだろう。だが世界的な健康危機が解決されるまでは、ファーストインパクトをもたらすまでに乗り越えなければならない困難も多々ありそうだ。