2019のオフシーズンには、大量の選手がヨーロッパから北アメリカへ移籍した。つまりLCSがビッグネームの加入に熱狂する一方、LECでは新たな世代が台頭することになる。

 東方に目を向ければ、LPLとLCKではそれぞれのリーグ内で活発に移籍が行われた。多くのチームが昨年の世界選手権での敗北から復活するべく、チーム再建を図っている。

 すでに2020年の春季リーグがスタートしているが、各リーグで最強と目される3つのチームを取り上げてみよう。

北アメリカ:LCS

1. チーム・リキッド

 チーム・リキッドは昨季、『ミッドシーズン・インビテーショナル(MSI)』で優勝こそ飾ったものの、世界選手権ではグループステージにすら進出することができなかった。それでは、今季の彼らは何が違うのだろうか? それはMr.Broxahの存在だ。

Image credit: Team Liquid Twitter

 今季のリキッドにはジェイク・ケヴィン・“Xmithie”・プチェロに代わり、世界屈指のジャングラーとされる元フナティックのマッズ・“Broxah”・ブロック=ペデルセンが加入した。これでチームのロスターは盤石のもとなったといえるだろう。不安要素があるとしたら、ビザの問題だけだ。

2. チーム・ソロ・ミッド

 ヴィンセント・“Biofrost”・ワンがチーム・ソロ・ミッド(TSM)に帰ってきた! Biofrostはヨーロッパからの移籍組であるカスパー・“Kobbe”・コッバーアップとボトムレーンでコンビを組むことになる。Kobbeは昨季プレーしたSplyceで、頼れるADキャリーであることを証明していた。

 さらに、昨季イモータルズ・アカデミー・チームの一員として過ごしたジョシュア・“Dardoch”・ハートネットもLCSへの帰還を果たすことになる。すでにチームにはスーパースターのミッドレイナー、ソーレン・“Bjergsen”・ビイェルグが在籍しており、そこにさらなる経験値が加わることになる。

 TSMは2017年以来、国内タイトルの獲得だけでなく、世界選手権への出場からも遠ざかっているが、新しいロスターによって生まれ変わることができるか注目だ。

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Image credit: Evil Geninuses Twitter

3. イーヴル・ジーニアスズ

 このチームには多彩なプレースタイルを誇る個性溢れるメンバーが揃うことになった。まずはアカデミー・リーグから台頭したデニス・“Svenskeren”・ヨンセンが、LCSに帰ってきたのだ。

 また、今季のイーヴル・ジーニアスズでは、2019シーズンのほとんどをC9のアカデミーチームの一員として過ごした新人選手、コリン・“Kumo”・シャオがスタメンを飾ることになるだろう。

 ヨーロッパからの移籍組はもう一人いて、元チーム・バイタリティのミッドレイナー、ダニエレ・“Jiizuke”・ディマウロが加入した。ただ、チームを機能させるためには、Jiizukeは昨季以上のパフォーマンスを見せる必要があるだろう。それができなければ、チームのプライマル・キャリーが、Svenskeren一人になってしまう可能性がある。

ヨーロッパ:LEC

1. G2・Eスポーツ

 G2のメンバーに大きく変わったところはない。しかし彼らは、昨年の世界選手権のグランドファイナルズでファンプラス・フェニックスに敗れた悔しさを、力に変えて戦ってくるはずだ。

 チームは今季も国内タイトルや国際タイトルを積み上げていくつもりだ。それゆえ、G2が引き続きG2であり続けることを期待していいだろう。スキルフルで、戦術的で、時にリスキー。見ていて最高に楽しいG2を、今季も思う存分楽しめるはずだ。

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Image credit: Fnatic Twitter

2. フナティック

 Broxahが退団したことにより、オスカル・“Selfmade”・ボデレクは大きな穴を埋めることが期待されている。元SKゲーミングのSelfmadeは、Broxah退団以外には変更がないフナティックのラインアップに加わることになった。

 一番大きな変更はコーチング・スタッフだ。新たにアルフォンソ・“Mithy”・アギーレ・ロドリゲスがヘッドコーチに就任する。元G2で、TSMやオリジェンでもサポートを務めたMithyが、コーチとしてどのようなチームを組織できるか注目だ。

3. オリジェン

 新しいオリジェンのロスターにはタレントがひしめいている。チームには元スプライスのジャングラーで、世界選手権2019では準々決勝進出も果たしたアンドレイ・“Xerxe”・ドラゴミルが加入。現ミッドレイナーのエルレンド・“Nukeduck”・ウァテウィク・ホルムやトップレイナーのバーニー・“Alphari”・モリスと、どのようなコンビネーションをみせてくれるか注目だ。

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Image credit: Origen Twitter

 また、オリジェンには元マンモスのミッチェル・“Destiny”・ショーも加入。遠方のオーシャニック・プロ・リーグ(OPL)からの移籍となった。Destinyはボトムレーンでエリアス・“Upset”・リップとコンビを組むことになる。オリジェンがどのようなチーム戦術を構築できるか、目が離せないシーズンとなりそうだ。



中国:LPL

1. ファンプラス・フェニックス

 通常、世界選手権を制したチームは、翌シーズンはチームをいじらないことが多い。例えばSKテレコム・T1、サムソン・ギャラクシーなどがそうだった。

 従って、FPXのメンバー変更がSKテレコム・T1のキム・“Khan”・ドンハの獲得のみにとどまったのは、驚くべきことではない。Khanのキャリープレーは、チームに多くのドラフト・オプションをもたらすことになるだろう。

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Photo credit: RNG Twitter

2. ロイヤル・ネバー・ギブアップ

 オフシーズンに開催されたデマシア・カップは、中国の多くのチームにとって、新チームをテストする絶好の機会となった。RNGは元フラッシュ・ムーブスのマークスメン、ル・“Betty”・ユヒュンを出場させた。Bettyは、昨季ボトムレーンでジャン・“Uzi”・ジハオができなかったプレーを披露し、チームの戦術に幅をもたらしてみせた。

 また、RNGにはもう一人、顔馴染みの存在が加入する。引退したばかりのチョ・“Mata”・セヒョンがヘッドコーチとしてチームに加わったのだ。今季は指導者としてのMataの手腕に注目だ。

3. インビクタス・ゲーミング

 インビクタス・ゲーミングは2019のMSI準決勝でチーム・リキッドに敗れて以来、本来のフォームを取り戻すことができていない。世界選手権の準決勝で敗退したチームからはほとんどの選手が離脱し、昨季のメンバーは、ADキャリーのユ・“JackeyLove”・ウェンボを残すのみとなった。

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Image credit: Invictus Gaming Twitter

 新シーズンに向けて、チームには元ヴィシ・ゲーミングのコンビ、ディン・“Puff”・ワンとス・“Southwind”・ツィーリンが加入した。さらに、元SKテレコム・T1のキム・“Fly”・サンチョルがヘッドコーチとしてチームを率いることになった。指導陣の変更は、個人技を重視する傾向にあるIGに、チーム戦術をもたらすことができるだろうか?

韓国:LCK

1. DAMWON・ゲーミング

 DWGはこの春、前年のロスターを全員残留させた唯一のチームとなった。しかしながら、ヘッドコーチのキム・“Kim”・ジョンスはチームを去ることになった。Kimは過去3シーズンにわたって、DWG、IG、ロンシュ・ゲーミングを、世界選手権出場へと導いていた。

 昨季国際経験を積んだ伸び盛りのDWGは、今季大きな飛躍をみせてくれるはずだ。

2. ゲン.G

 オフシーズンのフリー・エージェントのなかでは最大のビッグネームの一人である元SKテレコム・T1のジャングラー、キム・“Clid”・タエミンは、新天地にゲン.Gを選んだ。Clidは、グワク・“Bdd”・ボソン、パク・“Ruler”・ジャヒュクとのキャリートリオを形成する。いずれも堅実なプレーが持ち味で、チームに大きな力をもたらすことになるはずだ。

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Photo credit: T1 Twitter

3. SKテレコム・T1

 「決して神を疑うな」

 他のチームと同様、T1もキープレイヤーを失った。しかしミッドレイナーのリー・“Faker”・サンヒョク、ボトムレーンのデュオ、パク・“Teddy”・ジンソンとリー・“Effort”・サンホといったコアメンバーはチームに残った。さらにチームには元キングソーン・ドラゴンXのジャングラー、ムーン・“Cuzz”・ウーチャンが加入したことで、昨季よりも優れたチームプレーを見せてくれる可能性すらある。

 ジャングラーというよりは調整役に近いCuzzは、2017年にロンシュ・ゲーミングの一員としてデビューを果たすと、同年に世界選手権にも出場した。まだ20歳で、伸びしろも十分だ。

 スーパースターを揃えたチームが必ずしも勝つわけではないということは、今季のT1にとってグッドニュースかもしれない。2015年のチームがまさに、スーパースターを揃えながらも勝てないチームだったのだから。

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