先月、シンガポールの『リーグ・オブ・レジェンド』(以下、LoL)のプロ、ウォン“Chawy”シン・レイは、コーチとして初めてWorldsの舞台に上がった。

 チームのジャージからスマートグレーのスーツへと衣替えし、シンプルなブラウンのノートブックを持って、チームの後ろに立っていた。

クレジット:LoL Esports / Riot Games

 Chawyが最後にWorldsに参加したのは2017年。中国の武漢だった。ahq eSports Clubの予備プレイヤーとして、SK Telecom T1に対するahqのグループステージでの試合のラインナップに入れられていた。彼は史上最高のLoLプレイヤーであるリー“ Faker” サンヒョクと対戦する。

 ahqはその試合を0-1で落とす。

 ChawyはWorlds 2017が終わった後、ahqを去り、Hong Kong Attitude(以下、HKA)に代わるミッドレーナーとして加わった。Chawyは2018年にはほとんどプレイしなかったが、チームで新たな役割となるために時間を費やしていた。

 2018年10月、Chawyは公式にHKAの新しいヘッドコーチとなる。

 ヘッドコーチとして、HKAを春のリーグ・オブ・レジェンド・マスター・シリーズ(LMS)の5位から3位に導き、Worlds予選で優勝し、過去のプレイインをLMSの3番目のシードとして、Worldsのグループステージへたどり着いた。彼はコーチとなって初めての年でこれらすべてを達成した。

「Worldsへのチケットを手にしたとき、僕は周りを見回し、なぜ選手みんなは泣いていないのだろうと思いました。泣いたのは僕です。僕にとってとても大きなことだと感じたんです」と彼は振り返る。

クレジット:Garena LoL Esports

 Chawyにとって、選手からコーチへの移行するのはたやすかった。長年にわたり、台湾のさまざまなプロチームで闘ってきたことで、さまざまなコーチングスタイルを経験するチャンスがあり、加えて14年間のプロ選手の経験をもって、早くに自らの強みに気づいていた。

 彼のそうしたバックグラウンドゆえに、なぜプレイヤーが特定のやり方で行動するかの理由もよく理解していると考えている。「選手が悪い、と言ってはいけません。こうした類の言葉は使わないでください。プレイヤーは、どれだけできるのかに基づいて、違った関わり方をしなければなりません」とChawyは説明する。

「僕がTaipei Assassinsにいたとき、コーチは僕にもっと期待をかけていたから、厳しかったんです」

クレジット:LoL Esports / Riot Games


 Chawyはコーチとして、選手にも多くを期待している。HKAは午後と夜、2つのブロックに分け、1日14時間ものトレーニングを行った。チームは少なくとも1日17試合をプレイしたという。Chawyは常に最初にトレーニングへと集まるようにし、最後に帰っていった。

 彼は今年様々な実績を達成したことを誇りに思っているが、それでも満足していない。自分のチームがJ Teamを破り、Worldsへ最初のシードを手にできたかもしれないと考えている。

「初めからもっと選手たちに厳しくしたかった。最初、僕はとても寛大だったが、春に5位になった後、僕はより厳しくになることを決め、そしてより強くなりました」

 コーチング業務には、計画戦略、個々の改善に加え、ピック禁止するもの準備がある。Chawyはこうした準備が、HKAがWorldsに出場するために、Flash WolvesとG-Rexとの試合を3-0に抑えた主な理由だと分かっている。

 HKAの思い通りによるステージでの結果は、やり続けてきたことを反映したものだった。ドラフトに関しても、Chawyはノートにすべてを書き留めていたことで、あらゆる状況に対応できた。

 彼を放った唯一のゲームは、グループステージでのGriffinとの対戦である。彼らが初対戦したとき、GriffinはEzreal をミッドレーンへと動かしたことで彼らに優位を与えた。

Amanda Tan / ONE Esportsのスクリーンショット

 Griffin、Cloud9、およびG2 Esportsが敗北したため、HKAは第1ラウンドの後に0-3で終了。チームの精神力は揺らいでた。

「第2ラウンドが始まったとき、今日は勝つことにのみ焦点を当てることをチームに伝えました。良いチームは、弱いチームに対してあまり準備をしません。そこで弱いチームはさらに準備を進めます」とChawyは述べる。

 彼の選手の限られたチャンピオンプールで動き、HKAにとって最高のことを為し遂げる。ドラフトに関するネット上での批判もあったが、彼は誰もがピックを見て、異なる方法で禁止しているのだという。また、それが考慮されない地域差もあると説明している。

1ツイート:HKAは大会ワーストのドラフト賞を獲得したと思う。
本当に心に残る偉業だね。
2ツイート:誰かHKAが何をしようとしていて成し遂げようとしているか
説明できるのか????????????

 コーチにとってドラフトはタスクの半分にすぎない。Chawyはこの一年を通し、選手と個別に、特に『LoL』の基礎について仕事をした。

「プロレベルでは、機械的なスキルのレベルに違いはありません。若い選手は、理由もなくレーンをプッシュしてしまいます。そこでゲームの知識を教えることはコーチの責任です。」

「たとえばチェン “3z ”ハンは、潜在能力を持つ弱いトップレーナーの一人でした。そうした平凡な選手を優秀な選手に変え、コーチであることを証明したかったのです」とChawyは断言する。

 HKAはチームとして間違いなく期待を上回った。Worldsのメインステージにに到達するため、プレイインを通し、LMSにて自分たちのスポットのために戦わなければならない、およそ2か月にわたる旅であった。

 新たなシーズンに向け、Chawyはコーチとしてのキャリアをさらに進めていきたいと考えている。LMSにて選手とコーチは鍛えられたが、限られた投資と賞金プールの減少のため、彼は他の場所でより良いチャンスを望んでいる。

「この地域には、本当に勝ちたいコーチがほとんどいないことに気付きました。簡単な一日は昨日まで、という言葉を知っていますか? 簡単になることはありません」

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