『スターウォーズ』はこれまで何度もゲーム化されてきており、なかには1993年の『スターウォーズ:X・ウィング』や2003年の『ナイツ・オブ・ザ・オールド・リパブリック』など、傑作の誉れ高いものも多い。ところがその一方で、まったくの鳴かず飛ばずに終わり、アナキン・スカイウォーカーにとっての「砂」くらいに忌み嫌われているものもある。

 本日はその作品群のなかから、存在したことすら認識されていない5つの「迷作」ゲームを紹介しよう。


スターウォーズ:マスター・オブ・テラス・カシ(PlayStation/1997年)

 90年代の後半は格闘ゲームにとっては奇妙な時代だった。『ストリートファイター3』が鳴り物入りで発売される一方、多くの格ゲーファンは『鉄拳3』、『ソウルエッジ』、『バーチャファイター3』などの「次世代型」の3D格闘ゲームにのめり込んだ。その勢いに便乗するべく、ルーカスアーツはスターウォーズ・ユニバースのキャラクターたちが登場する3D格闘ゲーム『マスター・オブ・テラス・カシ』を発売した。

 ジャバ・ザ・ハットの手下の“ブタの護衛兵”とダースベイダーが1vs1で対戦するという無理な設定はさておいても、このゲームはひどい操作性とぎごちないモーションキャプチャーによって、初めから失敗が約束されていた。

 なお、レイア姫とゴールドのビキニを来た奴隷のレイアは、驚くべきことに別々のキャラクターとして登場する。


スターウォーズ:ジャー・ジャーのジャーニー・アドベンチャー・ブック(PC/1999年)

 『スターウォーズ・エピソード1:ファントムメナス』は驚異的な興行的成功を収めると同時に、ジャー・ジャー・ビンクスという人気キャラクターを生み出した。そこでルーカスアーツはジャー・ジャー・ビンクス関連の商品をこれでもかというくらいに販売し、最終的にはジャー・ジャーを主役としたPC版の「教育用ゲーム」を開発するに至った。

 このゲームの「教育的」狙いがどこにあったのかは今日に至るまで解き明かされていないが、あなたが4歳児に銀河の商取引や政治について学ばせたい場合に限って、購入を検討してみてもいいかもしれない。

スターウォーズ:ザ・グンガン・フロンティア(PC/1999年)

 『スターウォーズ・エピソード1:ファントムメナス』の成功によって、ジャージャー・ビンクスが属するグンガン族も一躍人気者となった。シミュレーションゲームである『ザ・グンガン・フロンティア』でプレイヤーに科されたタスクは「ナブーに有機体を持ち込むことで惑星に安定した生態系をもたらし、グンガンの文明化をサポートすること」である。

 このキャッチコピーを目にしても、eBayの中古品販売ページの購入ボタンをクリックしたくならないのであれば、あなたはおそらくこのゲームとは縁がなかったということになるだろう。

 ゲームは卓越なシステムを誇り、2008年のエレクトロニック・アーツのヒット作『Spore』があからさまに模倣しているほどで、なぜ評判を呼ばなかったのかは不明だ。もしかすると、単にルーカスアーツが見込んでいたほどグンガン族に人気がなかっただけかもしれない。


スターウォーズ:ジェダイ・アリーナ(Atari 2600/1983年)

 『スターウォーズ:ジェダイ・アリーナ』において最もエキサイティングなのは、ずばりそのタイトルだ。なんとなく、ライトセーバーを使った壮絶な対戦型ゲームを連想させるからだ。

 ところがこのatari2600で販売されたゲームは、『スターウォーズ・エピソード4:新たなる希望』のなかの、ルークが訓練用ドロイドを相手にライトセーバーの特訓を行うワンシーンのみを取り上げている。いやはや斬新である。


スターウォーズ:スーパー・ボンバッド・レーシング(PlayStation 2/2001年)

 1999年のポッドレーシング・ゲーム『スターウォーズ・エピソード1:レイサー』が予想外のヒットを飛ばしたため、ルーカスアーツは二度目の奇跡よ起これといわんばかりに、新たなレーシング・ゲームを発売した。おまけに今度は『スーパーマリオカート』をヒントにするなど、開発には万全を喫した。

 タイトルでもあからさまに模倣している通り、ゲーム内容もマリオカートに酷似していて、スターウォーズ・ユニバースの登場人物8名がデフォルメされた姿で登場し(ヨーダは車椅子で登場する)、9つのコースでカート・スタイルのレースを繰り広げる。

 しかしながら、操作性は不安定を極め、さらにスターウォーズのキャラを使ったカート・レーシングというスタイルにそもそも需要がなかったため、計らずも『スーパー・ボンバッド・レーシング』は忘却の彼方に追いやられたスターウォーズのゲーム一覧に名を連ねることになってしまった。