キム・“SigurRos”・ジュンスは韓国のストリートファイター界のトッププロで、F.A.N.Gの“神”として崇められている。F.A.N.Gの使い手としてはカプコン・ファイターズ・ネットワークのランキング・ナンバー1に位置しており、韓国の格闘ゲーム界の新星としても期待を集めている。

 よりハイレベルなF.A.N.Gの使用法について学びたければ、SigurRosの公式Twicthチャンネルものぞいてみよう。

 なお、インタビューの韓国語からの翻訳は@BurnoutFighterに負うところが大きく、この場を借りて感謝を述べたい。


 SigurRos:まず初めに、F.A.N.Gの強みと弱みについて整理しておこう。

 F.A.N.Gの強みは全ファイター中一番であるリーチの長さと、他のファイターにはない“毒”という武器を持っていることだ。

 また、キャラクターの動きも非常にユニークで、状況に応じて多彩な戦法を取ることができるため、対戦相手にとっては厄介の種となる。

 なお、F.A.N.Gの攻撃は変則的で多彩だが、破壊力に欠け、ディフェンスのパターンは限定的だ。つまり使い手としてF.A.N.Gのポテンシャルを最大限に引き出したいのであれば、プレイヤーは相当に器用でなければならない。

 F.A.N.Gをメインキャラクターとして使用したいのであれば、かなりの努力と忍耐を必要とすることは強調しておきたい。それは他のどのキャラクターをマスターするより、はるかに困難な道のりとなる。

 F.A.N.Gを使ってトーナメントやランキングバトルを勝ち進む上で、抑えておかなければならないポイントを紹介しよう。

1.毒を使って対戦相手を苛立たせよう

 F.A.N.Gは特定の技を当てることで、相手を毒状態にすることができる(Vスキル1を使えば相手がガード中であっても毒状態にすることが可能だ)。この武器を最大限に活かすには、どの技で相手を毒状態にできるかきちんと把握しておくことと、相手の毒状態を持続させるためのオプションを用意しておくことが重要になる。

 対戦相手が毒状態になると、ヘルスバーが紫になり、時間の経過とともに体力が減少していくことになる。

 毒はF.A.N.Gが打撃を受けると無効になる。つまり、相手の毒状態を持続させるためには、相手の攻撃を避け、ガードする必要がある。それができれば、対戦相手を大いに苛立たせ、ミスを誘発して、そこからさらなるオプションへとつなげることができる。相手が苛立っているということは、それはF.A.N.Gの戦術が機能していることを意味する。

2.対空技をマスターせよ

 前述の通り、F.A.N.Gにはディフェンス面のオプションが少ない。しかし対空技を活用することで、この弱みを相殺することができる。

 幸いにも、F.A.N.Gの対空技は相手のジャンプ攻撃に対して非常に効果的だ。もし地上戦で苦戦を強いられているのであれば、それは対空技を活用できていないからだといっていい。

3.長いリーチを活かせ!

 F.A.N.Gの攻撃の多くは非常に長い射程距離を誇る。各々の技の射程距離を把握しておけば、他のキャラクターでは届かない距離から攻撃をヒットさせることができる。

 長いリーチを活かすことができれば、通常のキャラクターでは不可能な距離から打撃を当てることができるので、相手の意表を突くことができる。

 それと同時に、対戦相手がF.A.N.Gのリーチを警戒すれば、通常より遠い間合いから相手を牽制することが可能だ。それは慎重さが求められるニュートラルな展開において、有利に働く場合がある。

 なお、F.A.N.Gに関わらず、使用しているキャラクターの間合いを把握しておくことは常に有効だ。それは技を選択する上で参考になるし、特に遠距離の攻撃を仕掛けるときに役立つはずだ。

4.EXゲージは大事に使おう

 F.A.N.Gを使うことが難しい理由の一つに、必殺技とクリティカルアーツのポテンシャルを最大限に引き出すのが難しいという点がある。つまり「双頭蛇」「両鞭打」を有効活用して対戦相手の勢いを削ぐには、リソースをマネジメントする必要がある。

 また、クリティカルアーツはコンボに組み込むよりは、毒で相手のヘルスゲージを十分に削ってから、最後のトドメとして活用するのがいいだろう。

5.常に相手をコーナーに追い詰めよ

 相手をコーナーに追い詰めたら、相手をそこから逃がさないことを一番の目標とするべきだ。コーナーに追い詰めることはあらゆるファイターにとって有効な戦術だが、F.A.N.Gにとっては相手に大きなダメージを与えることができる唯一のチャンスなだけに、とりわけ重要となる。

 一度相手をコーナーに追い詰めたら、相手のディフェンス、カウンター、ジャンプに気を配りながら、ポジションをキープすることに努めよう。

おまけ

 ストリートファイターVのストーリーにおいて、F.A.N.Gはベガが率いる悪の組織“シャドルー”の一員として登場する。

 F.A.N.Gでプレーするときは、そのことを常に頭に入れておいた方がいい。というのも、悪役であることを意識することが、そのプレースタイルを最大限に引き出す上で、非常に有効だからだ。つまり、可能な限り悪役を演じて、相手を苛立たせるのが一番なのだ。そのためには相手を常に毒状態にし、コーナーに追い詰めて、毒で体力を削っていくのだ。

 現実世界では善良に振る舞うべきだけど、ゲームの世界で勝つためには、悪役に徹するのが一番だ。

最後に

 僕はF.A.N.Gを愛しているが、それでもF.A.N.Gを使っていると、プロのリーグやトーナメントにおいてベスト8の壁を破るのは難しい。それは僕の戦績をみれば一目瞭然だろう。

 それでもなぜ僕がこのキャラクターを使い続けるのかというと、それはすべてのストリートファイターVのファンに希望を与えたいからだ。弱くて人気のないキャラを使っていると、結果を出すのは確かに難しい。それでも僕は、噛ませ犬のキャラクターを使ってトーナメントを勝ち上がることに情熱を注いでおり、それこそが僕が格闘ゲームを続ける理由でもある。また、一人のキャラクターを使い続けることが、スキルを向上させる上で最善の方法なのだと、僕は信じているのだ。