『ONE Eスポーツ Dota2 ワールドプロ・インビテーショナル』は大会最終日の試合が行われ、グランドファイナルは好調同士の激突となった。

 アッパーブラケットを勝ち上がってきたEvil Geniusesはここまで13勝1敗で、準決勝ではTeam Secretを、そして決勝ではGambit Esportsをそれぞれ2-0とスイープし、盤石の強さでグランドファイナルへと駒を進めた。

 一方のVici Gamingは序盤戦で振るわず、グループステージではあわや敗退というところまで追い込まれたが、ロワーブラケットの1、2回戦でTNC PredatorとTeam Secretとの接戦を2-1で制すると、ここからは勢いに乗って準決勝ではAllianceを、決勝ではGambit Esportsをスイープし、Evil Geniusesへの挑戦権を獲得した。

 グランドファイナルでもVici Gamingの勢いは止まらず、Evil Geniusesを3-0と一蹴。破竹の快進撃で『ONE Eスポーツ Dota2 ワールドプロ・インビテーショナル』の初代王者に輝いた。


ゲーム1

 VGは開幕戦に向けてミッドゲーム重視のトライコアを選択し、シャン・“Eurus”・チェンジュンがMagnusを、ゼン・ “Ori” ・ジャオヤンがViperを、そしてゾウ・“Yang” ・ハイヤンがUnderlordを選択した。

 一方のEGは終盤戦をにらんでアルトゥール・“Arteezy”・ババエフがPhantom Lancer、アベド・アゼル・“Abed”・ユソプがInvoker、そしてロマン・“RAMZES666”・クシュナレフがBeastmasterを選択。さらにミッドレイナーのアンドレアス・“Cr1t”・ニールセンはEarth Spiritを選択した。

 EGは序盤、レーニングフェイズ重視のヒーロー編成となったVGを相手に2000ゴールドのリードを奪い、さらにキルの数でも6-0と圧倒。Cr1tの大活躍によって先手を打つ。

 一方のVGはマップ全域で攻撃をしかけ、トップレーンでRamzesのBeastmasterを捉えることに成功。Abedはチームのオフレイナーを助けようとするが、そこをVGに狙い撃ちにされてしまう。

 VGに自軍のベースを蹂躙されたEGは、Abedをバイバックするが、すでにその頃までにはション・ “Pyw”・ジアハンのアルティメット「Static Storm」によって、Arteezyがキルされてしまっていた。

 EGは結局ArteezyとRamzezをバイバックしてVGのヒーローを狙いにいくが、VGは5人のヒーローを無傷で保つことに成功し、EGを撤退させることに成功した。

 VGはEGのバラックをすべて制圧した上、Mega Creepのアドバンテージも獲得。このあとEGはRoshanピットで決戦を挑むが、VGのEurusはMagnusを使って、EGのヒーローをPywの「Static Storm」と「Kinetic Field」に誘い込み、ゲーム1をものにした。


ゲーム2

 迎えたゲーム2、VGはArteezyが得意とするNaga Siren、Phantom Lancer、Blood Seekerを選択禁止にする。同時にOriがViper、YangがBeastmaster、EurusがDrow Rangerを選択した。

 一方のEGはAbedがRazor、RamzezがOmniknight、ArteezyがGyrocopter、Cr1t-がDisruptorを選択した。

 EGはAbedがViperを相手にしたにも関わらず、Oriをミドルレーンで圧倒し、レーニングフェイズを支配する。一方、VGのYangはCr1t-のDisruptorに絶えずプレッシャーをかけられ、低調なパフォーマンスに終始する。

 それでもVGはトップレーンでAbedのRazorにsmoke gankをしかけ、なんとか流れを引き戻すことに成功。EGはここでミッドレイナー抜きの無謀な戦いを強いられた結果、3人のヒーローをキルされてしまう。

 ミッドゲームは一進一退の展開となり、EGはDireベースを支配しようとするが、ティア3のタワーやバラックを制圧することができない。

 VGはチームファイトでEGのヒーロー3人をキルし、完全に流れを手繰り寄せることに成功する。

 VGはアドバンテージを活かし、EGのティア3タワーを陥落させるべく、ミドルレーンを攻めあがった。Cr1t-はstatic stormでVGのヒーロー3人をとらえるが、PywがRamzezのGuardian Angelを掻っ攫い、EGを降参へと追い込んでみせた。


ゲーム3

 崖っぷちに追い込まれたEGはFaceless VoidとEnigmaをコアに選択。また、Cr1t-がTinyを選択し、今大会で猛威をふるったコンビネーションで勝負をかける。

 一方のVGはコアにKunkka、Omniknight、Slarkを選択。さらにディン・“Dy” ・コンがElder Titanを選択する。

 試合は両者ともにチームファイトでアルティメットをしかけ、主導権を奪いにかかる。序盤はVGのヒーローたちがCr1t-に対してStatic Stormをしかけるが、ここでArteezyとRamzezがチームファイトに参戦し、ChronosphereとBlack Holeを繰り出してこれを制してみせる。

 それでもVGはミドルレーンを追いかけてくるEGを相手に反撃し、流れを引き戻すことに成功。相手がアルティメットを使えないなか、4人のヒーローをキルしてみせた。

 このあと、EGはArteezyがChronosphereを繰り出し、さらにRamzezがBlack holeで追い打ちをかけると、VGのヒーローを3人キルし、再び互角の展開に持ち込んだ。

 EGはこのあとYangのOmniknightを狙ってSmoke Gankをしかけ、リードを広げようと目論む。しかしミドルレーンに長く残り過ぎた結果、VGのカウンターアタックを食らってしまう。

 勢いを活かしたいVGは、このあとEGがChronosphereとBlack holeを準備していたにも関わらず、敵陣に突っ込んでいった。ひとたびアルティメットを食らってしまえば勝利はないことをよくよく承知していたVGは、Eurusをバイバックして速攻をしかける。

 VGのリードはわずか8000ゴールドだったが、相手にアルティメットを使わせなければ勝利できると確信していた。EurusはRamzezのEnigmaを追いかけて、Dire Fountainに突撃する。これで完全に守備者を失ったEGは、白旗を上げざるを得なかった。

 この勝利によって大会の初代王者に輝いたVGは、優勝賞金20万ドルを獲得した。

 一方、EGは10万ドルを獲得するにとどまっている。

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