2019-20の『Dotaプロサーキット』のメジャー第1戦、『MDL成都メジャー』の9日目の試合が行われ、今大会で旋風を巻き起こしてきたTNC Predatorが優勝候補筆頭のVici Gamingを3-1で下し、チーム史上初のDPCメジャー制覇を成し遂げた。TNCは賞金30万ドルと4850DPCポイントを獲得している。

 TNC Predatorはアッパーブラケット決勝でVici Gamingに0-2で完敗。しかしこの日に向けて、主将パク・“March”・テウォンは中国の雄に雪辱するために、適切な調整を行っていたようだ。


ゲーム1

 VGにアッパーブラケット決勝で敗れたあと、TNCはレーニングフェーズで優位に立つためのヒーロー編成を行った。しかし先手を取ったのはVGで、開始9分で最初のキルを達成する。

 VGはTNCのヒーローに比べて破壊力に欠けるため、序盤で積極的に仕掛ける必要があった。しかしTNCはその狙いを読み切っており、二つの激しいチームファイトを制し、完全にゲーム1の主導権を握った。

 TNCは特段VGの抵抗に遭うことなく、ダイアタワーとシュラインをやすやす手中に収めた。このゲームでTNCはホームチームを打ち負かし、中国の強豪相手にも互角の戦いができることを証明した。

 

ゲーム2

 続くゲーム2、TNCはMorphling Earthshakerコンボで勝負をかける。前回のアッパーブラケット決勝でVGを相手にこの選択をしたときは完全に封殺されてしまっていたため、戦術が機能するかどうかに注目が集まった。

 TNCはレーニングフェーズからポイントを積み上げることに専念し、アルメル・パウル・“Armel”・タビオはクリープのキルの数でトプに立ち、さらにVGのヒーローが出てきたときは見事に打ち負かせてみせた。

 また、ボトムレーンではダミエン・“kpii”・チョクがスペースを作ってチームメイトたちに自由を与えた。さらにkpiiは13分までにラディアントのティア2のタワーを倒してみせる。

 この結果、VGはシャン・“Eurus”・チェンジュンがBlack King Barをゲットしたにも関わらず、TNCのMorphling Earthshakerコンボに対抗することができない。

 Eurusは瀕死の状態でチームファイトを生き残ったが、キム・“Gabbi”・ビジャフエルテのMorphlingを倒すだけの体力は残っていなかった。

 VGはEurusにDivine Rapierを使って反撃を試みるが、Phantom AssassinのBlack King Barの持続が短かったため、そのままTNCに敗北。会場に詰め掛けた中国人ファンにショックを与える。

 
 


ゲーム3

 TNCはUrsaとAlchemistを選択してシリーズをスイープで締めくくろうともくろむが、中国の雄はチームを立て直し、相手の戦術にアジャストすることに成功する。

 VGはレーニングフェーズでAlchemistを狙うのではなく、ほかのヒーローを倒すことに専念した。この戦術はうまく機能し、TNCはゲームを通じて大きなインパクトを残すことができない。

 TNCは相手のTimbersawを狙うが、それだけではマップコントロールを取り戻すことはできなかった。

 VGは二つのチームファイトを制し、中国人の大観衆の希望をつないでみせる。GabbiはRoshanからAegis of the Immortalを奪おうとするが、それはEurusにかっさらわれてしまい、さらにラディアントベース内で三人のヒーローをキルされてしまう。

 TNCは撤退するVGのヒーローたちを追うが、ゼン・ “Ori” ・ジャオヤンのアルティメット「Ghost Ship」でカウンターされてしまう。TNCはチーム全体が混乱に陥るなか、Gabbiが孤立してしまう。さらにティモシー・“Tims”・ランドルプは、GabbiがCheeseを使って反撃に出ると読んでバイバックを使い、これが大きな仇に。このミスに乗じてVGがゲーム3を締めくくりにかかる。

 VGはラディアントベースに急行すると、バイバックが尽きて数的不利となったTNCを強襲する。TNCはまもなくギブアップし、VGはなんとかスイープを免れた。

 

ゲーム4

 迎えたゲーム4、レーニングフェーズは一進一退の攻防となる。TNCはパク・“March”・テウォンがSong of the Sirenを使って最初のチームファイトで勝利を狙うが、これはション・ “Pyw”・ジアハンのPurificationでカウンターされてしまう。

 しかしTNCはMorphilingがAghanim’s Scepterをファームすると、一気に流れを取り戻す。GabbiはEarthshakerで敵の前線に深く分け入っていき、あっという間に相手のサポートヒーローを始末してみせる。

 ところがこのあと、VGはGabbiをミドルレーンで捕まえ、さらにRoshanを倒してリードを奪い返す。

 勢いに乗るVGは、ゼン・ “Ori” ・ジャオヤンがNullifierを使って、Gabbiを無防備な状態にさらした。これによってVGは完全なマップコントロールを手にし、ミドルレーンを制してみせる。

 次の20分だけでVGは2万5000ゴールドのリードを手にし、おまけにAegis of the ImmortalとCheeseのアドバンテージも得た。

 ところがVGはこの機会を活かすことなく、ダイアベースも手放してしまう。その結果、TNCはサポートヒーローたちのためにアイテムを獲得し、さらにティモシー・“Tims”・ランドルプのDisruptorのためにAghanim’s Scepterを確保した。これによってTNCは、ミドルレーンでのチームファイトを制することに成功した。

 TNCはここから素晴らしいコンボの数々を繰り出し、ダミエン・“kpii”・チョクがSong of the SirenでStatic StormとKinetic Fieldをお膳立し、OriのTemplar Assassinを爆殺することができた。

 一方のVGは、GabbiがAegis of the Immortalを使ったため、彼のMorphilingを倒すことができない。ラディアントベースを獲られてしまった結果、VGはここで遂にギブアップ。TNCがチーム史上初のメジャー優勝を成し遂げることとなった。

 大会のMVPには、Morphilingを使って圧巻のプレーをみせたキム・“Gabbi”・ビジャフエルテが選ばれた。

 なお、2位に終わったVGは賞金1万6000ドルと3000DPCポイント獲得するにとどまっている。

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