中国の『リーグ・オブ・レジェンド・プロリーグ(LPL)』のサマー・スプリットは17チームがタイトル獲得を争うだけでなく、世界選手権への出場権もかけて戦う。

 新型コロナウイルスの感染拡大によりスプリング・スプリットが中断を強いられた関係で、サマー・スプリットを前にした中断期間はわずか1カ月と、例年よりかなり短いものとなった。

 中断期間中には伝説的なADキャリー、ジアン・“Uzi”・ジハオが引退するなど、ロスター変更が頻発した。また、今季のミッドシーズンにはLPLと『リーグ・オブ・レジェンド・チャンピオンズ・コリア』の強豪が一同に会した『ミッドシーズンカップ』も開催されている。本日はサマー・スプリットの開幕を目前に控えた、LPLのパワーランキングを紹介しよう。


1. トップ・Eスポーツ

Credit: LPL

 スプリング・スプリットのレギュラーシーズンで4位、プレーオフで2位、そしてミッドシーズンカップで優勝を果たしたトップ・Eスポーツが、パワーランキングのトップに立った。チームにはスプリング・スプリットの開幕直前に元インビクタス・ゲーミングのボットレイナーであるユ・“JackeyLove”・ウェンボが加入し、チームのレベルを引き上げた。トップ・Eスポーツにはサマー・スプリットでも大きな飛躍を期待できるはずだ。


2. JD・ゲーミング

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 2020のLPL王者はプレーオフのファイナルでトップ・Eスポーツを接戦の末に3-2で退けたが、ミッドシーズンカップでは準決勝で現世界王者のファンプラス・フェニックスを相手に弱点を露呈してしまった。JDGはセオ・“Kanavi”・ジンヒョクがニダリーとグレイブスをバンされてしまった時の対策を練っておく必要があるだろう。


3. ファンプラス・フェニックス

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 オフシーズン中、キム・“Doinb”・テサンはストリーミング上で批判とどのやって向き合っているのかについて語り、妻が大きな助けとなったと語った。Doinbは代名詞となっているライズに信頼を置いており、より戦略を重視したミッドレーンのチャンピオンであるシンドラ、ルブラン、コルキは使用しない。

 それにも関わらず、ファンプラス・フェニックスはチームとしてユニークなチャンピオン・プールを誇っており、その柔軟な戦術によって自在に相手の裏をかくことが可能だ。


4. eスター

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 スプリング・スプリットのダークホースとなったeスターは、サマー・スプリットをユアン・“Cryin”・チェンウェイ抜きで戦うことになる。このエースは古巣であるロイヤル・ネバー・ギブアップに移籍してしまったのだ。LGD・ゲーミングから来たフアン・“Fenfen”・チェンがミッドレイナーの代役を務めることになる。

 また、チームには2014年の世界チャンピオンであるチョ・“DanDy”・インキュがコーチとして加入した。

 eスターはレギュラーシーズン序盤こそファンプラス・フェニックスやインビクタス・ゲーミングといった強豪を破って旋風を巻き起こしたが、中盤戦に失速し、プレーオフはぎりぎりで出場を果たしたものの、1回戦で敗退の憂き目にあった。彼らに誰にも負けないものがあるとすれば、それは選手を育てようというチーム哲学であり、それが他にはないチーム・シナジーを生んでいるのだ。


5.インビクタス・ゲーミング

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 リュ・“Leyan”・ジューは2019年夏にリーグ・オブ・レジェンド・ディベロップメント・リーグ(LDL)から加入すると、ほとんどの試合でガオ・“Ning”・シェンニンを押しのけてレギュラーを務めた。しかし、そのLeyanがヴィシ・ゲーミングへと移籍したため、インビクタス・ゲーミングは再びNingを起用することに決めたようだ。

 インビクタス・ゲーミングはレギュラーシーズンを1位で終えたものの、そこから調子が急降下し、プレーオフでは準決勝でトップ・Eスポーツに1-3で敗れると、3位決定戦とそれに続くミッドシーズンカップでは1勝もできなかった。

 ジャングラーがNingのみという状況のなか、インビクタス・ゲーミングは補強が急務となっている。


6. エドワード・ゲーミング

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 シャオ・“Aodi”・アオディとプレータイムを分け合った結果、トップレイナーのリム・“Jinoo”・ジンウはチームでわずか1シーズンをプレーしただけで、25歳で引退した。その代役として、エドワード・ゲーミングはアカデミーチームのボットレイナー、ウ・“BBD”・リンフェンを昇格させた。

 エドワード・ゲーミングはスプリング・プレーオフでは1回戦でロイヤル・ネバー・ギブアップを3-1で下したまではよかったが、準々決勝でファンプラス・フェニックスを前に敗退に追いやられていた。

 若きボットレイナーのワン・“Hope”・ジエはスプリング・スプリットで最高のパフォーマンスを披露したADキャリーの1人で、LPLデビューシーズンを終えた今、さらなる成長と飛躍が期待される選手だ。

7. ロイヤル・ネバー・ギブアップ

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 スプリング・スプリットで調子が上がらなかったRNGに対して、ファンは「Uziはどうしたんだ?」と疑問を抱いていたはずだ。しかしそのUziは正式に引退を表明した。これからは、RNGはUziの傑出したテクニックに頼ることはできない。

 また、RNGで1年を過ごしたあと、シエ・“Langx”・シェンイィンはLGDに放出された。代わりにトップレイナーのへ・“705”・ユーロンとチャン・“New”・シーペンがそれぞれJD・ゲーミングとLDLのレジェンド・Eスポーツから加入した。

 なお、チームにはスプリング・スプリットで204キルを記録したミッドレイナー(スプリング・レギュラーシーズンではミッドレイナー中最多であり、全体でも2番目のキル数)、Cryinが帰ってきた。Cryinは元々RNGのアカデミー出身で、スプリング・スプリットはeスターでプレーしていた。

 RNGはサマー・スプリットまでに新しいトップレイナーとの連携を深め、さらにジャングラーがリ・“XLB”・シャオロン1人という状況で結果を出すことを求められている。


8. チーム・WE

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 チーム・WEはスプリング・スプリットの最終日にエドワード・ゲーミングとオー・マイ・ゴッドを2-1で下し、プレーオフへ滑り込み出場を果たした。プレーオフではeスターをを3-1と圧倒したまではよかったが、トップ・Eスポーツを相手に準々決勝で敗れてしまった。

 オフにはメインロスター全員の残留に成功したため、サマー・スプリットでも旋風を巻き起こすことが期待されている。


9. ヴィシ・ゲーミング

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 メンバー変更はリー・“Chieftain”・ジャエユブの離脱だけで、代わりにはLeyanが加入した。とはいえVGはシーズンを通してリ・“Aix”ヤンに頼ることが多かったため、離脱者による穴に不安はない。SKテレコム・T1のキム・“kkOma”・ジェンギュンをヘッドコーチに迎えた今、若手中心にどのような戦い方をみせられるか注目が集まる。


10. LGD・ゲーミング

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 LGDはサマー・スプリットを前に戦力アップを果たした。RNGからLangxが加入しただけでなく、ドミナス・Eスポーツからス・“xiye”・ハンウェイが加入した。xiyeはWEでプレーした4シーズンで評価を高めた選手だ。

 また、サポートにも2人の控え選手を加えた。ドミナス・Eスポーツからリン・“Mark”・シュを獲得するとともに、スプリング・スプリットでは出番がなかったeスターのワン・“Alu”・シーイを獲得した。また、トップレイナーのファン・“Garvey”・ジアウェイをアカデミーから昇格させている。

 ハン・“Peanut”・ワンホとハ・“Kramer”・ジョンフンといった既存の戦力と融合できれば、サマー・スプリットではLGDの躍進に期待ができるだろう。


11. ビリビリ・ゲーミング

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 シエ・“Jinjiao”・ジンシャンはボットからサポートにポジションを変更した。これによって、アカデミー出身の18歳のワン・“Wings”・シューカイがボットレイナーとして、大リーグ・デビューを果たすことになる。

 スプリング・スプリットでは勝ち星にこそ恵まれなかったものの、全試合で粘りをみせ、シリーズをゲーム3まで持ち込むことが多かった。今季は接戦をものにする勝負強さを身に着ければ、大化けする可能性もある。


12. スニング

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 控えのボットレイナーのウェイ・“Weiwei”・ボーハンはヴィクトリー・ファイブに移籍し、ジャングラーのチェン・“View”・ユーミンがアカデミーから昇格した。これはリー・“SofM”・クアンの波の激しいプレーに苦しんでいたスニングにとっては、大きな福音となりそうだ。Viewの存在が、チームに新たなダイナニズムをもたらすだろうか?


13. オー・マイ・ゴッド

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 メインロスターに変更はなかったが、OMGはヴィクトリー・ファイブに所属していたフアン・“Aliez”・ハオを獲得し、さらにリウ・“Sora”・シーロンをトップレーンの控えとして加入させた。

 スプリング・スプリットでは、アッパーブラケットのチームを相手にほとんどストレート負けを喫していた。サマー・スプリットではメンバーをいじらなかったことが、吉と出るか凶と出るか。


14. ローグ・ウォリアーズ

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 他の中位チーム同様、ローグ・ウォリアーズもメンバー変更はほとんどなかった。新加入は1人で、エドワード・ゲーミングのアカデミーチームの元ジャングラーであるシェン・“Youdang”・シャンシンがチームに加入。トップ、ミドル、ジャングルで新たなオプションを手にすることとなった。


15. ドミナス・Eスポーツ

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 DMOで最大の変更はボットレーンのメンバー交代だ。ボットレイナーのリン・“Mark”・シュはLGD・ゲーミングに移籍し、サポートのチェン・“GALA”・ウェイもチームを去った。ボットレーンの戦力ダウンをカバーするべく、DMOはアカデミーからワン・“Helper”・フアンウェイとル・“Mitsuki”・ジアルンを昇格させた。


16. LNG・Eスポーツ

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 LNGはチームの30.3%のダメージを占めていたボットレイナーのル・“Asura”・キが流出するという大打撃に見舞われた。控えだったワン・“Light”・グアンユが、1人で先発を務めることになるだろう。

 また、元フラッシュ・ウルブスのトップレイナー、チョウ・“Steak”・ルーフシがヘッドコーチに就任している。


17. ヴィクトリー・ファイブ

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 元ファンプラス・フェニックスのアカデミーのサポートだったグオ・“ppgod”・ペンがチームに加入した。さらにサポートのシャン・“ZYF”・イーファンがV5のアカデミーから昇格する。

 新ボットレイナーのWeiweiのほか、ボットレーンには新たにリー・“SamD”・ジャフンが加入し、トップレーンにはユ・“Biubiu”・レイシンがスニングから加入した。しかし多くはまだ発展途上の選手であり、能力は未知数だ。

 スプリング・スプリットでは0勝16敗と惨敗を喫したV5は、今季初勝利をサマー・スプリットで手にすることはできるだろうか?