史上初めてEスポーツが公式競技となった第30回SEAゲームズ(東南アジア競技会)にて、『Dota2』のフィリピン代表チームは初代金メダリストの栄誉に輝いた。
2日間の競技の末、栄冠を手にしたのは、Team Adroitを中心に編成されたフィリピン代表だった。彼らはグランドファイナルでプロの混成チームであるタイ代表を、一進一退の攻防の末に退けた。
フィリピン代表はゲーム3とゲーム5で見事な逆転勝利を収め、母国に金メダルを持ち帰ることになった。
ゲーム1
フィリピンは相手のヒーローに積極的な攻撃をしかけ、ゲーム1をアップテンポな展開に持ち込もうとする。一方のタイも確実に最初のチームファイトで勝利するべく、4人のヒーローを送り出す。
タイのプーミパット・“Fearless”・トリシリパントはタイミングよくTornadoを繰り出し、3人のラディアントヒーローを捕らえてみせた。
しかしここで活躍したのが、大会を通して対戦相手を破壊し尽くしてきたフィリピンのジュン・“Bok”・カネハラだ。Elder Titanのアルティメット、Earth Splitterによってチームを勝利へと導いた。
ゲーム2
続くゲーム2、タイはレーニングフェイズを制すると、フィリピンが組織的な攻撃をしかけるたびに、ヌエンガラ・“23savage”・ティーラマハノンがアルティメット、Chronosphereを繰り出し、相手を撃退してみせる。
その後もタイは試合の主導権を手放すことはなかった。フィリピンはRavageやChronosphereといった相手のアルティメットに対抗する術をもたなかった。ゲーム2を制したことにより、タイはシリーズを1-1のイーブンに戻すことに成功する。
ゲーム3
開始10分でキルの数で7-1でリードするなど、ゲーム3でもタイが最高のスタートを切る。しかしここからフィリピンの驚異的なチームシナジーが機能し始め、あっという間にタイが積み上げたリードを帳消しにしてみせる。
このゲーム3をものにするために、フィリピンは適切な戦略の調整を行ってきた。タイは前ゲームで、TidehunterのRavageを使ってほとんどのチームファイトを制した。これを受け、フィリピンはMCニコルソン・“Mac”・ビジャヌエバのOutworld DevourerにBlack King Barを使い、相手に与えるダメージを増幅させた。
フィリピンはローシャンピットでのチームファイトを制し、Aegis of the Immortalを手に入れ、ゲーム3の勝利を確実なものとした。タイはフィリピンのOutworld Devourerを退けることができず、ここで投了せざるを得なくなった。この結果、フィリピンがシリーズで2-1とリードを奪うことになった。
ゲーム4
ゲーム4のドラフトで、フィリピンはRazerをセーフレーンに、そしてMorphilingをミドルレーンに配置するという、不可解な選択を行う。その結果、フィリピンのヒーローたちはタイのViperに一掃されてしまい、タイがキルの数で10-2のリードを得ることになる。
このあと、フィリピンは反撃に出て、一時は互角にまで盛り返すことに成功する。
しかし、ここでAnti-Mageを使ったタイの23savageがAbyssal Bladeをファームし、フィリピンのMorphilingを封じることに成功。これによって、タイは2-2に追いつき、シリーズの行方はゲーム5に委ねられることになった。
ゲーム5
金メダルがかかる一戦の前に、両チームは布陣に微調整を加えてきた。フィリピンはミドルレーンにRazerを配置した一方、タイはDrow Rangerをドラフト。3度目の選択となったViperと組ませて、勝負をかける。
タイは10分までにキルで7-0でリードし、またもレーニングフェイズを制する。タイがこのグランドファイナルで序盤に大きくリードを奪うのは、これで3度目となる。
しかしフィリピンのチームファイトにおける組織力を侮ってはいけなかった。彼らはRoshan Pit外での二つの決定的なチームファイトを制し、40分までにゴールドの数で逆転してみせる。
マーヴィン・“Boombacs”・ラッシュトンはアルティメット、Black holeを炸裂させ、さらにPhantom Lancerを使ったジョン・アンソニー・“Natsumi-”・バルガスは、バイバックされた相手のヒーローに大ダメージを与えてみせる。
このあとタイは、Natsumi-を孤立させてキルすることに成功し、そのまま反撃に出る。しかしラディアントのティア3タワーにたどり着くと、フィリピンが自軍のヒーローをバイバックし、タイのヒーローたちを駆逐してしまう。
タイのViperとDrow Rangerのコンビは、フィリピンのPhantom Lancer,、Razor、Legion Commanderのトリオに終始対抗することができなかった。これが両チームの顕著な差となって現れ、フィリピンは最終的に相手の玉座を落とすことに成功する。
この結果、フィリピンはSEAゲームズにおけるDota2の初代金メダリストの栄誉に輝くこととなった。タイは銀メダルに終わり、銅メダルはベトナムの手にわたった。
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